古来より美少女の軽挙妄動は、その代償を彼女の純潔で払うと相場が決まっている。 「ひぐっ……あ、うっ……」  ロズワール邸で働く使用人姉妹の妹・レムであっても例外ではない。いま、彼女は己の衝動的な行動の代償として、出会ったばかりの男に犯されていた。 「う……あぁ……ふ、くぅ……ぅ……うぅ……」  レムはメイド服を着たまま、地面に敷いたマントの上で四つん這いの姿勢を取らされ、スカートを大きく捲り上げられている。小柄な体にしては肉付きが良いヒップを彼女は男の目にさらしている。  レムを犯している男はロルフ・ヴァン・マイヒェルベックという騎士で、年齢は二十代半ばほどだろうか。金色の髪に端正な顔立ちをした美青年であり、一見したところでは爽やかな印象を受ける。  彼の本性を知れば、そんな感想はすぐに消え失せることになるのだが。 「んぅ、んふぅ……んふぅ……んぁ……んぉ、おぉ……」 「いつまでも我慢してないで、気持ちいいならもっと気持ちいいなりの声を出せ。体だけじゃなく声や言葉でも男を誘うんだ」  ロルフが命じるとレムの腹で怪しく淫紋が光った。先ほど彼からレムへプレゼントしたものだ。当然レムは自分の肉体を男に差し出す契約の証など欲しくなかったが、彼を襲撃して返り討ちにあった末に無理矢理押しつけられたのだ。 「ほら、このへんか?」 「あっ! ……あう!」  男が腰を突き上げるように動かすたび、レムの下腹部の奥深くで何かがキュンと震えるような感覚があった。子宮口を中心とした性感帯の群れが甘く疼いているような感じだった。 「最奥より少し手前。お腹側のポイントを、チンポの裏筋で擦るとレムちゃんの反応はいいぞ? どうだ、こことか。ここなんか、特にイイだろう」 「――――ッ!」  ぐりっと先端を押し込むようにして刺激されるたび、レムの中の熱が高まっていくようだった。膣内の媚肉が痙攣するような甘痒さに苛まれて、少女は太腿の内側を震わせる。 (こ、こんな……)  レムは唇を強く噛みしめながら、屈辱に耐えていた。しかし、そうやって耐えていても彼女の秘所は口ほどに物を言う。レムがどれほど強く否定しても、彼女自身の意志に反して彼女のそこは濡れそぼっている。透明な粘液が溢れ出して内股まで濡らすほどだった。一突きごとにジュボジュポといやらしい音が響く。  その音を自分で聞いて、自分がどれだけ興奮しているのか思い知らされる。レムはそのことにまた顔を赤らめた。 「すごいな、中からどんどん汁が出てるじゃないか。レムちゃんの気持ちいい汁がチンポの出し入れを助けてる。これだけ濡れてるんだ、今さら抵抗する気なんてないだろ? 俺もそろそろヤバイんだよ、中に出しちゃってもいいよね?」 「あ……だめ、ダメです、そんな……あぐっ!」  レムは必死になって首を振るが、男の方は聞く耳を持たない。彼はさらにペースを上げた。パン、パン、パンと、激しく腰を打ち付けられるたび、彼女の頭の中に火花のような衝撃が生まれる。  その快感の強さに流されないため、レムは奥歯が悲鳴を上げるほど歯を噛み締めねばならなかった。 (あ、ああ……だ、め……わたし、こんな……きもち、よく……)  レムは生まれて初めて感じる快楽の奔流に翻弄され、思考をめちゃくちゃにする。頭が真っ白になる。自分が何を考えているのかすらわからない。自分が自分ではなくなっていくのを感じる。レムは自分が、自分の体が、別のものに変化していくような錯覚を覚え始めていた。 「はぁ、あぐ、ぅうっ……だ、ぁ、んひぃ、ぁ、あぐぅ……っ!」 「おぉっ……イクぞ! レム!」  ロルフが叫ぶ。彼は亀頭をレムの最深部へと押し込んだまま射精した。熱い濁流の直撃を受けて、レムの視界に星が点滅した。これまで誰も教えてくれなかった、女の体の本当の使い途を本能で理解してしまった。男を悦ばせるために存在する、この肉体の機能を知った。 「……ぁ、う、んぅうぅ…………」 「まだ放心するには早いぞ」  ロルフの愛液にまみれたペニスは未だ硬く反り返り、精力絶倫ぶりを見せつける。彼の男根はレムの膣内で些かも萎えていないのだ。 「覚えておくといい。レムちゃんのような可愛い女の子にチンポ突っ込んでおいて、一度で満足するようなやつは男じゃないのさ」 「……ぅ……ぁ……はぁ……ぅ……」  レムはもはや指一本動かすことすらできない様子でうつ伏せのまま倒れ伏していた。意識はかろうじてあるが全身の感覚がない。体が自分のものではなくなったように重い。  ロルフはレムの脇の下から腕を通し、美少女メイドの肩を掴むと上体を起こした。そのままレムを抱き寄せ、彼女を背後から犯し始める。レムの尻に男の下半身が密着し、ピストン運動を再開する。 「っ……っぅうっ……あんっ……ぃ、やっっ……ぁ、ぁあっ……っぁ……っ!」 「上体を起こしてチンポ出し入れすると、レムちゃんの好きなお腹側の気持ちいい場所に当たるだろう? それにこうやって抱きしめるようにして体を押さえつけながら動くとな」 「んっ、んんっ! んんんーっ!」  ロルフが言う通り、挿入の角度が変わるとレムはGスポットやお腹側の弱点を刺激され、今まで以上に激しい反応を見せた。まるで陸に打ち上げられた魚のようにビクビク跳ねる。 「下半身だけじゃなく、体全体で男の存在を感じ取れるようになるんだ。レムちゃんが誰のチンポで感じているか、はっきり分かるよな?」 「あっ、ああっ、あふ、ひぅ、ひんっ、あふ、ふぁ、あ、あ、あっ!」  レムには分かってしまう。分かりたくないのに分かってしまうのだ。この相手がナツキ・スバルであれば、レムはどれだけ喜んだことだろう。しかし、ここにいる相手はレムの知らない男。昨日出会ったばかりの男がレムを犯している。それが悔しくて悲しい。 「……ぅ……っく……ふ……うぅ……う……っ……」  レムは嗚咽を漏らす。彼女は涙を流す。それを見たロルフは嗜虐的な笑みを浮かべ、レムをいたぶるかのようにゆっくりと腰を動かし始めた。 「レムちゃんは泣き顔もかわいいねぇ。だけどほら、俺が気持ちいいってことはレムちゃんだって気持ちいいわけだろう? もっと声を上げてごらん」  ロルフのペニスはカリ首の溝が深く、女の膣内を掻き混ぜる用途に最適な形をしていた。彼が腰を回すと、ぬるぬるの愛蜜がペニスにまとわりつく。くちゅくちゅと卑猥な音を立てて撹拌されると、レムは自身のおまんこで発生した淫楽に押されて声を上げてしまう。 「――ッ! ふぁ……あふ、ぁ……んんぅう……んぁ、ぁぁ……ぁ……」 「そうそう、その調子だ。声を我慢したら気持ちいいのが体に溜まっていって、もっと辛くなるからな」 「ぅ……ぅ……んぁ……んぁ、んぅ……ぁ……」  レムは唇を噛んで声を押し殺そうとする。ロルフはレムが必死で堪えようとする様を見てニヤリと笑うと、再び最奥目掛けより一層激しく腰を突き上げ始めた。 「ぅ、ん、――っ! ……ん、んぅっ! ふぅ、ん、ん、む、んぅっ……ぅ……ぁ、む……ぅ、ふ、んぅ……っ!」  レムは一度イッて感じやすくなった体をロルフに抱きすくめられ、逃れようのない状態で犯されている。そのせいで、ロルフの言葉責めに羞恥心と敵愾心を煽られ、感度が増しているように感じた。 「ほら、わかるか? いま俺のモノで突かれてるのは、レムちゃんの体のどの部分かな? レムちゃんの気持ちいいところはどこにあるんだ? 言ってみな」 「……ん、ぁ、あ、や、やぁ、あ、ぁっ」  レムは思わず甘い声を漏らしてしまう。それを恥じらい、再び唇を噛み締めるが、すぐにまた唇が解けてしまう。レムの膣内の一番奥、子宮の入り口をぐりぐりと押し込まれると、口を閉じていられないほどの快感が押し寄せてくるのだ。 「ほら、言えよ。レムちゃんの気持ちいい場所、教えてくれよ」 「……あっ♡ ……ひっ…………うぁっ…………くふっ……あ、あっ……あっあっ♡」 「さっきより声が甘くなってきちゃった。ダメだね、しょせん女の子が頑張ってみたところで、じっくり丁寧に子宮を躾けられたら、すぐ骨抜きになっちゃうもんなんだよ。だからほら、もっと声を出して、もっと素直になりな。そしたら俺がもっと気持ちよくしてやるからさ。ほら、ほら!」 「いゃ、いゃぁ! だめ、そこだめぇ! やめて、やめてください! お願いします、レムは、レムは!」 「いいかげん諦めろよ。もうお前は俺の女だ。このチンポがなきゃ生きていけない体になってるんだよ。いい加減、その体がどうしようもなく求めてるものに身を任せちまえ!」 「――――ッッッッ!」  男の剛棒が少女の最奥を突き上げた瞬間、レムの膣内が激しく痙攣し絶頂に達した。同時に、彼女の胎内で何かが弾けたような気がした。 (また……射精された……また、男の人に中で……)  レムは絶頂の余韻で息を荒げながら、内ももに垂れてくる自分のものではない体液の熱を感じ取っていた。 「ぁ……ぁう……ぅ……ぅ……」  レムは小さく喘ぎながら、男の体液を少しでも膣から追い出そうと身を捩る。まだ絶頂の衝撃で痺れる下半身にありったけの力を込め、膣洞を締め付けた。レムは、こんな男の子種なんていらない、自分の中に一滴だって残しておきたくないと反抗したつもりだったが、まだ性器を繋げたままの男からしてみれば、それはただの愛らしいおねだりにしか感じなかったようだ。 「レムちゃんのおまんこも、俺のチンポ欲しいよって抱きついてくるし、まだまだ付き合ってもらおうか」 「ひぅっ!」  そう言いつつ、彼は腰を強く押し込んできた。まだ硬いままの肉槍の先端が子宮口に押し付けられ、レムは悲鳴じみた声で鳴いてしまう。 「そ、そんな……まだ、そんな……」 「俺はまだ全然満足してないよ。それにレムちゃんだって、さっきみたいな可愛らしいおねだりをしちゃってたじゃないか。このまま終わりなんて言わせないよ」 「ち、違います……レムは……レムは……」 「そうだね、女の子は恥じらいを持ってるほうが可愛いよ。でも、そんな風に否定しても無駄。体のほうが正直だ。ほら、レムちゃんのここ、まだまだ物欲しそうにしてるよ」 「ひぅっ! んぁっ!」  ロルフの手がレムの肩から彼女の胸元へと移動する。彼はレムの体を抱きかかえる体勢のまま、メイド服の上から揉み解すように双丘を刺激し始めた。 「やっ! あっ! んっ! んぅっ! ひぅうっ!」  敏感な箇所を二点同時に攻め立てられ、レムは耐え切れずに艶やかな声を上げてしまう。自分の恥知らずな声を聞きながら、レムはロルフとの出会いから現在までを思い出していた。 ***  騎士であり貴族の嫡男でもあるロルフという青年がロズワール邸を訪ねて来たのは、昨日の昼頃のことだった。魔獣騒動が一段落し、張り詰めていた空気が弛緩した屋敷では、使用人たちが束の間の休息を楽しんでいた。  屋敷の主であるロズワール・L・メイザースが所用で出かけていることも、使用人たちの気を楽にしていた。  しかし、そこに突然の来客である。それも、あまり歓迎すべき相手ではなかった。彼の名はロルフ・ヴァン・マイヒェルベック。貴族の家柄に生まれた男で騎士でもあると自己紹介した。 「ロズワール辺境伯は留守か。王都までの道すがら寄らせてもらったんだがな」  ロルフは居並んだ使用人たちの顔を一瞥すると、そのまま応接間に向かい、ソファに腰掛けた。 「どうした? この家では客に茶の一杯も出さないのか? 辺境伯家の使用人とはその程度か?」  まずもって急に屋敷へ上がり込み、図々しくも歓待を要求する人間など客として認めたくないというのがレム、ラム、そしてスバルの一致した意見であった。とはいえ、彼は間違いなく騎士の制服を着ている。騎士はプライドが高く、自分たちの身分に誇りを持っているため、万が一にも偽騎士など見つけた日には袋叩きである。辺境伯家を訪ね、堂々と身分詐称する馬鹿はおるまい。  それにマイヒェルベックという家名も貴族名鑑に載っている。 「失礼しました。ただいまご用意いたします」  レムは頭を下げ、ラムと共に厨房へと向かう。 「レム、レム。今度のお客様は少し変だわ。もしかしたら、また厄介事を持ち込むかもしれない」 「そうですね。姉様」  レムは内心で同意しながら、廊下を歩く。レムがあの男を怪しむには、それなりの理由があった。  何と言ってもロルフがロズワール邸を訪ねて来た時期である。そろそろ王選が始まろうかという時期に他家の騎士が訪問したのは、他の候補を次期王に据えようとする他勢力の回し者かもしれない。狙いが直接的な妨害か単なる敵情視察かは定かでないが、もし本当にそうであれば、レムとしては警戒せざるを得ない。  だが姉妹の心配を他所に、ロズワール邸でのロルフは他勢力の間者にしては軽薄で騒々しく、あまりに迂闊だった。彼曰く、王都へ行く目的は王選会議に出席することだが、自分はどこの陣営にも組みしてないのだそう。 「いや、しかし、実物のエミリア様は実にお美しい。これなら亜人趣味で有名な辺境伯も後援したくなるわけだ。もしエミリア様の騎士が未定なら、是非とも私に任せていただきたいですな」  ロルフの失礼な物言いにラムが怒りで僅かばかり目を細めた。  彼は純粋に褒め言葉のつもりだろうが、変わり者としても有名なロズワールの趣味を揶揄したり、銀髪のハーフエルフという世間的には忌避されるエミリアの属性を無遠慮に指摘する辺りで、屋敷の人間ははっきりと彼を不快な人物として認識した。 「はいはいはい、その辺りにしてくれませんかね。うちはキャバクラじゃないんで。女の子を口説きたかったら、そういう目的のお店に行ってください」  ロルフとエミリアの間に割って入ったのはナツキ・スバルだ。ロズワールの代理人として茶の相手を務めるエミリアに対して、ロルフは最初から好色な目を向けていた。世間知らずなエミリアは気がついてない様子だが、スバルは同じ男としてロルフが脳内で彼女にいやらしい妄想をしていることがすぐに分かった。 「キャバクラ? というのがどういう店かは知らないが、君には私が女性に節操のない下衆に見えると言いたいのかね? 心外だな」  スバルの言葉にロルフは気分を害した様子も見せず、むしろ愉快そうに笑った。モテない男の僻みには慣れている、とでも言いたげな余裕の表情だった。 「私はあくまで紳士的に彼女と話がしたいだけだ。君が余計な茶々を入れてくれる必要はない」 「そいつは失礼いたしました。それでしたら、うちの女性陣をあまりジロジロ見るのはやめていただきたいんですがね」 「スバル!」使用人の度を超えた失礼な発言をエミリアが代わりに謝った。「申し訳ありません、ロルフ様」 「ああ、いいんですよ。構いません。このくらいのことで腹を立てるほど私も狭量ではありませんから」  エミリアが恐縮しきった様子でぺこりと頭を下げるのを見て、ロルフは満足そうな表情を浮かべた。「それにジロジロと見ていた、という点については私も否定できませんから。これだけ美しい女性が居並んでいるのを前にして、些か興味本位を抑えられなかったのは事実。しかし、ご理解いただきたいのは、美とは愛でるためにあるということなのです。私にとって女性たちを愛することは息をするように当たり前のことであり、決して性欲や支配欲といった邪な欲望に突き動かされているわけではないのです」  大仰な仕草で弁舌を振るう姿はいっそ滑稽ですらあった。その芝居掛かった喋り方も含めて、レムはロルフを胡散臭く感じた。  その日、一晩だけロルフはロズワール邸に泊まっていった。屋敷に滞在中の彼は事あるごとに女性陣の美しさを称賛し、軽薄で気障ったらしい態度を取り続けた。中でもエミリアに対して、露骨なまでに好意をアピールし続けていた。その馴れ馴れしい態度にスバルは終始顔を顰めていたが、エミリアはそれを不快とは思っていないのか、照れたような顔で流していた。  己の容姿に無頓着で、恋愛感情を理解できるほど情緒も育ってないエミリアは、自分が年上の男から本気で性的対象として見られ、狙われている危機感が持てないのだった。  それを傍で見ているレムやラムのほうが危なっかしいと感じた。  姉妹のロルフに対する評価は、一晩で『女好きの軽薄ナンパ野郎』に決まった。だがそれ以上は怪しい点が見つからず、本当にただ王都までの道すがらロズワール邸には興味本位で立ち寄っただけに見えた。 「それじゃ私はこれで失礼する。今回は世話になったね。王都に来たら今度はぜひ私の家にも招待させてくれ」  別れ際にロルフがそんな申し出をしてきたので、エミリアも笑顔で応じた。 「ありがとうございます。機会があればよろしくお願いします」 「楽しみにしてるよ」  ねっとりとした粘着質な笑みをエミリアに向け、彼女の手の甲に別れのキスをしてロルフは去って行った。  急な来客を無事に見送ったことで、ロズワール邸の面々はようやく一息つくことができた。彼らは滞っていた仕事や予定を片付けようと、思い思いの方向に散っていく。そのためレムの独断専行に気づく者はいなかった。  レムは少し時間をおいて、ロルフの行方を追いかけた。程なくして追いついた彼女が尾行を開始すると、ロルフはまっすぐ王都に向かうと見せかけて森の中を迂回し、ロズワール邸の裏手に戻って来た。  これだけでも十分怪しい動きだが、加えて彼は何やら作業を始めた。人目を避けるように木々の陰に潜み、周囲をキョロキョロと見回している。 (レムのことにはまったく気づいてませんね)  レムは音を立てないよう慎重に距離を詰める。彼が何をしていようと関係ない、そのまま始末してしまえ。そう考えながら彼女は接近する。そうしてある程度距離が詰まった瞬間、レムは大きく踏み込んで奇襲をかけた。  完全に虚を突いた一撃だったが、相手はそれでも反応した。死角から繰り出したモーニングスターの一撃を、手にした剣でいなす。そのまま体を回転させ、振り返りざまマントの下に隠し持っていた短刀を投げつけてきた。 「いやいや、ちょっと待てよ、そのメイド服のどこにそんな物騒な得物を隠し持ってるわけさ」  ロルフの言葉遣いは軽薄さの度合いを増していた。ロズワール邸ではチャラいながらも貴族の男子として最低限の品位は保っていたが、レムと二人きりの今はそんな気取りも不要と見てか、口調がぞんざいになっている。 「答える義理はありませんっ!」 「冷たいねえ。俺と君の仲じゃないか」 「レムにとっては見知らぬ男性です」 「一晩を共にしたこと、もう忘れたのかな」 「同じお屋敷で寝泊まりしただけのことを拡大解釈しないでください」  冷たく言い放つレムに、男は肩を竦めておどけた顔を見せた。そして青髪の美少女メイドに向かって剣を構え直す。 「最初の一撃で仕留められなかったことが運の尽きだ。君に勝ち目はないよ」 「やってみなければ分かりません!」レムは叫ぶと同時に攻撃を開始した。モーニングスターを振り回し、胴体を狙う。しかし男はその動きを見切り、軽々と避けてレムの懐に入り込んできた。至近距離からの刺突を、レムは後ろに飛んで躱す。 「へえ、いい反射神経してるじゃん。君、何者?」 「……あなたには話したくありません」 「釣れないこと言うねぇ」  ロルフが再び斬撃を放つ。剣を横薙ぎに払う一撃。避けるか武器で受けるかしなければ、胴体が真っ二つになる。レムはモーニングスターの鎖で受け止めた。そのまま鎖で彼の剣を絡め取る腹積もりだったが、男の鋭い剣戟はレムの体をぐらつかせた。彼女は二歩、三歩と後ろによろめく。  勢いに負け後退したレムの間合いへ、ロルフが飛び込んでいく。彼は上段に構えた刃をレムの頭部目がけて振り下ろした。レムはその攻撃を半身になって躱し、モーニングスターの鉄球部分を突き出す。それは必中の間合いと思えたが、ロルフは紙一重で身を翻す。  モーニングスターを避けたロルフは、回転した勢いのまま剣を横に振る。風切り音に反応したレムが頭を低くすると、すぐ頭上を疾走る剣に髪の毛を何本か斬り落とされた。  レムはバックステップで後退する。一度大きく距離を取って体勢を立て直した。 「だいたいレムちゃんの実力は分かったよ。可愛い見た目の割には強いけど、残念ながら俺の相手じゃない」  ロルフは余裕綽々の態度を見せながらレムへ近づいていく。 「俺としてはもっと穏便に行きたいところなんだ。美少女は傷めつけるより、可愛がってあげたい性分なんでね。抵抗しなければ、痛い目には遭わせたくないな」 「お断りします」  レムがモーニングスターを構え直す。鉄球と柄を繋ぎ合わせる鎖が、じゃらりと重い金属音を奏でる。鬼族の身体能力を活かしたパワー型の必殺武器であるが、攻撃モーションが大きいためロルフには見切られている。これを当てるのは至難の業だとレムも自覚していた。 「そうか、残念。じゃあ、俺も本気を出すしかないね。もし切り札を隠し持っているなら出し惜しみはしないほうがいいよ」  切り札と聞いてレムが真っ先に連想したのは鬼化だ。鬼族であるレムは角の力を開放することにより、身体能力を飛躍的に増大させることができる。だがレムは角の力を制御できないため、開放中は理性を失ってしまう諸刃の剣でもあるのだ。  心身に大きな負担がかかる鬼化はレムにとって最後の最後の手段だった。  ゆえにロルフ相手に彼女は鬼化を秘めたまま戦った。それが悪手だと気づいたのは負けたあとだった。  レムは距離を取ってモーニングスターを振り回した。剣の間合いに近づけさせない以上の対策を彼女は思いつかなかったのだ。しかし、いくらレムが鬼の力で凶器を振り回そうとも、ロルフは易易と軌道を見切り避ける。 「まさか俺が家門の力だけで騎士になりおおせたと思ったのかな? たしかに俺は騎士より役者向きのイケメンと少年時代から言われていたが、見た目で人を判断して油断するとろくな目に合わないってことを、君は今後のためにも覚えておくべきだ」  速さも力も技術も圧倒的に差があることは火を見るよりも明らかだった。ロルフが軽く振り回す剣の軌跡さえ視認できず、レムは彼の攻撃を受け止め続けるので精一杯だ。防御しても衝撃を殺しきれず、体の節々に鈍い痛みが走る。そのたびに顔をしかめて苦痛に喘ぐが、ロルフは容赦なくレムに襲い掛かってくる。  しかも彼は本気を出すと言いながら、まだ手加減していた。口元には余裕の笑みを浮かべ、レムが防げる限界ギリギリの斬撃を繰り返す。やがて防戦一方の中でレムは利き手を彼に抑えられた。 「少し痛くするぞ」と言って、ロルフは剣の柄頭でレムのみぞおちを殴りつけた。 「うっ」くぐもった悲鳴を漏らして少女の体が崩れ落ちる。疲労した肉体は攻撃への反応が遅れた。無防備なみぞおちへの衝撃でレムは指先まで痺れて酸欠になる。  秘密を知った私のことをロルフは許さないだろう、彼は私を殺すだろうとレムは覚悟した。しかし意外なことに彼はレムの体を地面に寝かせると、少女の首ではなく腹を見分し始めた。 「せっかくの上玉だ。殺すのは惜しいし、これからお楽しみに使う体を傷つけたくもない。代わりにこいつでレムちゃんの自由を縛らせてもらうよ」  レムの下腹部をメイド服の上から撫で擦っていたロルフの左手が怪しく光った。ピンク色の光は徐々に強くなり、バチバチと弾けるような音が鳴り響く。その光が収まると、レムは自分の下腹部に火傷したような痛みを覚えた。 「なに、を、したんですか……?」 「レムちゃんの体にエッチな淫紋をつけさせてもらったよ。今は服で隠れてるから、どんなデザインかは部屋で一人になったとき確認してね。ちなみにこの淫紋、勝手に消せないから」  ふざけたことを言いながら、ロルフはレムの体を地面に下ろし、彼女に背を向けた。 「レムにこんなことをして、ただで済むと思っているのですか」  レムの声は怒りに震えていた。しかしロルフはまるで怯んだ様子もなく飄々と答えた。 「怖い顔しないでくれよ、レムちゃん。それにこれは君の自業自得だぜ。君が余計な気を回して尾行なんかするからこうなるんだ。使用人なんだから、お給金以上のことなんて気にしなけりゃ良かったのさ」  ロルフは騎士服のマントを剥ぐと地面に広げた。栄えある騎士の制服も彼にかかればピクニックシートと変わらない扱いだ。彼はレムの小柄な体をひょいっと持ち上げて、その布の上に彼女を転がす。 「なにをするつもりですか!」  仰向けのままロルフの動向を窺うレムに対し、男はニヤリと笑うと、レムのスカートに手をかけ一気に捲り上げた。露わになったパンツは純白。ふっくらと盛り上がった陰唇の形が、薄い布地越しにくっきりと浮かんでいた。 「言ったろ? これからこの体はお楽しみに使わせてもらうって。ぷにぷにで柔らかそうな美少女のおまんこ、今日からは俺の物だ」  ロルフがレムの恥丘に人差し指を当てて上下に擦る。陰唇からはみ出た柔肉の感触を確かめたあと、さらに力強く割れ目に指を押し付けた。指の動きに合わせて敏感な箇所を刺激するのか、パンツの下で秘裂がひくつき始め、湿り気を帯びてくるのが分かる。レムは顔を真っ赤に染め上げて身をよじった。  そんな少女の様子など気にする素振りも見せず、彼女の太ももの間に割り入ったロルフは膝を折り曲げさせる。自然と両脚が大きく開き、スカートの裾がずり上がる。反撃したいのに内蔵を強打されたレムの肉体は、まだダメージから回復しきっていない。力が入らない手足をバタつかせ、必死に逃げ出そうとするがロルフは体を巧みに操ってレムの抵抗を抑え込む。 「やめ、やめて、くださぃ……」  弱々しく首を振るレムの懇願を、しかしロルフは無視した。少女の下着を片手でずらすと、姿を現したピンク色の二枚貝を反対側の手で開く。むわっとした湿気とともに甘い香りが鼻腔をくすぐった。男を知らない処女膣はぴたりと閉じている。その隙間に無理やり指を差し込むと、レムが短い悲鳴を上げる。 「ひぃっ!」 「やっ、や、やだ、そんな、とこ、きたない、ですからっ」  レムも許しを求め懇願するばかりではない。大人しく従って辱めを受けるくらいなら、たとえ殺されることになっても反撃してやろうとロルフの隙を伺った。だが彼への敵愾心を燃やすと、レムの情熱は全身の筋肉ではなく、下腹部に刻み込まれた淫紋に向かう。 「ぅん……ぁ、ああっ! ああぁあん……」  ロルフの指先が膣内の粘膜と絡み合うと、途端にレムの思考が桃色に染まる。まるで恋人と愛を語らうように、優しく繊細な愛撫を求めるレムの本能を、レム自身でさえ制御することができない。 (だめっ、感じちゃだめです、こんな奴に好き放題されて感じるなんて……)  心の中で否定の言葉を呟いても、子宮の奥からこみ上げてくる快感にレムの思考力は急速に奪われていく。レムは自分が何を望んでいるのかも分からず、ただただ目の前の男を受け入れるための準備を進める。次第に強くなる甘い痺れと疼きが、レムの意志を無視して腰をくねらせ、挿入を促すように股を開いた。 「レムちゃんに与えた淫紋の効果は大きく三つある。 一 術者のことを憎めば憎むほど、術者のチンポが欲しくなる 二 術者の命令には絶対服従 三 術者と淫紋のことを他人には話せなくなる  負けたうえにこんな辱めまで受けて、今は俺のことが憎くて憎くて、殺しても足りないくらい憎く感じているだろう? だけど俺への憎悪を滾らせるほど、レムちゃんの肉体は俺と繋がりたくて堪らなくなるんだよ」  ロルフが嬉々として語りながらレムの膣内で指先を曲げる。彼は天井側のザラついた感触を探り当てると、そこを小刻みに揺らす。その度にレムの口から「あ、ぁ」という喘ぎ声が漏れ出した。彼女の体からは次第に力が抜け、ロルフが指先で刺激を送る度に腰が浮き上がり、ぴくぴくと震える。 「レムちゃんみたいな可愛い女の子は、悔しがりながら感じている姿のほうが似合うからね。もっと俺を憎むんだ。淫紋の力を最大限に発揮して、快楽漬けにしてあげる」  彼の指がレムのGスポットを押した。それだけでレムは腰を震わせて絶頂する。快感のあまり潮を吹き、愛液が飛び散りスカートの裏地を汚した。 「大嫌いな俺の指で、おまんこほじほじされて気持ちよくなっちゃう自分の体が大嫌いだろ? Gスポットが気持ちいいなんて、今まで誰も教えてくれなかったことをレイプされながら知っちゃうのは悔しいだろ? だから今以上に俺を強く憎んで、俺に屈服しそうになる自分の心を押し返すんだ。簡単には快楽に負けないでくれよ。少しは食いでというやつを残してくれ」  男の囁きに呼応するように、レムの瞳からは涙がこぼれ出す。彼女は悔しさと恥ずかしさで唇を噛みつつ、それでもどうにか自我を保っていた。 (レムは、絶対に負けるわけにはいきません!)  そうやって気持ちを強く持つことは通常なら快楽に抗う有効手段だ。しかし、被術者が持つ術者への反抗心を発情エネルギーに変換する淫紋に対しては、むしろ逆効果となる。ロルフの指がレムのクリトリスを転がした。充血して膨らんだ敏感な豆粒を指で擦り合わせると、レムは弓なりに背をしならせ、顎を突き上げて天を仰ぐ。再び彼女の股間から透明な液体が噴き上がった。 (うぁあ、いやぁぁ……どうして、こんなに、感じてるんですか……レムのからだ、おかしいです)  レムは自らの体の変化に恐怖を覚えながらも、ロルフによって与えられた未知の感覚に翻弄され続けた。 「レムちゃんが頑張って抵抗してくれるおかげで、俺も張り合いがあるよ。どこまで耐えられるか楽しみだ」  ロルフは満足そうに微笑むと、ズボンを脱ぎ去った。レムの痴態を見て興奮したペニスを露出させる。それは今までレムが見たことない巨大で、淫猥で、猛々しい雄の器官だった。天を向いて反り返る姿は鬼族の角にも負けない勇壮なフォルムをしている。血管が浮かび上がった肉茎は脈動し、鈴口からはカウパー液を滴らせている。  彼女はそれを虚ろな瞳で見つめて生唾を飲み込んだ。欲しいと思う気持ちを、理性が拒絶して押しとどめる。けれど淫紋によって増幅された欲望は止まるところを知らず、彼女は無意識のうちに手を伸ばしてしまう。 「遠慮しないで」ロルフはレムの手を掴むと、そのまま自分の竿を握らせた。  手のひらに伝わる熱さと硬さに驚き、レムは手を離してしまいそうになる。しかし彼はしっかりと自分の手を少女の手に重ね、強引に上下に扱かせるのだ。レムの手が動くたび、じゅぶ、ずちゅっ、と粘着質なロルフの股間から発せられる。亀頭の先から溢れる先走り汁が泡立ち、レムの白い手を汚していく。 「さっきまでの威勢はどこに行ったんだ? 自分から俺のチンポを握りたがるだなんて」 「違います、これはあなたが無理矢理させているだけですっ!」 「そうだね。淫紋の命令で仕方なくレムちゃんは俺に手コキサービスしてるだけだよね。嫌々やらされて俺のことがどんどん嫌いになるのに、それゆえどんどん俺とエッチなことしたくなるんだから不憫なレムちゃん。本当にかわいそう」  レムの体が強張る。図星を突かれ、反論の言葉も出ない。 「俺は優しいから、レムちゃんの心が折れるまで付き合ってあげるよ。レムちゃんの心が完全に折れたとき、きっとレムちゃんのほうからおねだりしてくるだろうね。淫紋とは関係なく俺とセックスしたくなったら教えてね。そしたら、レムちゃんをたっぷりと可愛がってあげる」 「そんなこと、ありえません!」 「そうかい? じゃあ試してみようか」  ロルフはレムの手を放すと、少女の膝裏に腕を差し込んで持ち上げ、両足を左右に大きく開かせた。スカートが捲れ上がり、レムの股間が再び露わになる。濡れそぼった秘裂に先端をあてがい、一気に貫いた。  膣内の襞が異物を吐き出そうと蠢く。それを征服するように体重をかけて腰を突き出せば、最奥部に到達した瞬間ロルフは、周囲とは感触が違うコリコリとした臓器の存在を感じた。 「分かるか、これがレムちゃんの子宮だ。今からこの入り口を開いて、直接レムちゃんに種付けしてやる」 「や、やめ、やめて、くだ、さい、いやぁ!」  レムは悲鳴を上げて抵抗するが、淫紋の力に阻まれる。どんなに足掻いても、ロルフの動きを止めることさえできない。ゆっくりと、それでいて確実にレムの胎内へと侵入してくるロルフの剛直。その圧倒的な質量が、レムの心に無力感を植え付けていく。 「女の子は損だよな。どんなに憎らしい相手の子種でも、ここに射精されてしまえば子供を身籠ってしまうんだから。孕みたくないならせいぜい抵抗してくれ」  ロルフはレムを辱めるために言葉を並べる。そのすべてが彼女に自分を憎ませるための燃料だった。ロルフの言葉責めはレムの精神に作用し、それは淫紋を通して彼女の発情を促す。 「ぅぁ……はぁ……んんッ!」  膣壁を擦り上げる肉棒の感触にレムの腰が跳ね上がる。初めて味わう男根の大きさに戸惑う暇もなく、ピストンが始まった。最初は浅く小刻みに前後させ、徐々に深く速くしていく。子宮口を押し上げられ、内臓を引きずり出されるような錯覚を覚える。 「どう? 気持ちいい?」 「誰が、気持ちよくなんか、ありません!」 「そう? レムちゃんはもっと激しいのが好きなのかな?」  ロルフは腰の律動をテンポアップさせた。二人の下腹部で若い肌と肌を打ち付け合う、澄み切った打擲音が鳴り響く。 「うっ……く、うぁ、は、はんっ……やっ、やめ、……はう、あぁ……っ」  膣奥を激しく突かれる快感に、レムは嬌声を上げまいと必死に耐える。だがそんな彼女の努力を嘲笑うように、ロルフの動きはさらに激しさを増した。まるで獲物を仕留めようとする獣のように、レムの小さな体を蹂躙する。 「レムちゃんの狭いおまんこ、きゅうきゅう締め付けてくるけど濡れ方が激しいから簡単にチンポ滑るよ。レムちゃんも気持ちいいんだろ?」 「ち、ちがいますっ、こんなの、気持ちよくなんて、ないっ、ああっ、やだ、だめ、だめですっ、やめてくださいっ」  否定しながらも、レムの体はさらなる快楽を求めて貪欲にロルフを求める。彼女の意思に反して全身が痙攣し、蜜壺からはとめどなく愛蜜が溢れ出た。  そうやって前から後から、挿入の角度や深さを変え、何度もレムはロルフに犯された。指一本でもキツキツだった小穴が、ロルフのデカチンを滑らかに丸呑みできるようになるまで拡張されたころ、やっと二人のセックスは終わった。 *** 「ヤッた、ヤッた。さすがに俺も精液空っぽだわ」  ロルフは汗で濡れた前髪をかき上げながら立ち上がる。彼の股間には大量の白濁液がこびりつき、湯気を立てていた。  処女を奪われ、膣内射精までされてしまったレムは放心状態となり、仰向けに倒れたまま動かない。虚ろな瞳が暗くなり始めた空を見上げている。 「本当は監視用のミーティアを設置していこうと思ったんだけど丁度いい。今後はレムちゃんが俺の手足になって、エミリア周辺で起きてることを教えてくれ。俺が命令したら、いつでもどこでも、どんな状況でもすぐに俺に知らせるんだ」  独断専行で挑み、敗れ、レイプされたうえに今後は間者として生きろというロルフの言葉は、レムの自尊心を大いに傷つけた。己の軽はずみな行動の結果とはいえ、あまりにも惨めな扱いだと感じずにはいられない。それでも淫紋がロルフとレムを結んでいる限り、彼女は悪徳騎士の命令に逆らうことができない。  今のレムには選択肢などなかった。 「……わかりました」レムは弱々しい声で返事をする。 「それじゃレムちゃん、早速だけど俺のちんぽを舐めて綺麗にして」 「はい」  言われるがままにレムは身体を起こすと、仁王立ちするロルフの前に跪き、彼の股間に顔をうずめた。萎えてなお巨大なペニスを両手で握り、舌先でチロチロと舐める。  悔しさで涙が出そうになるが、それでも彼女は淫紋の効果によって奉仕を続けるしかなかった。舌の上に広がる苦味を感じながら、丁寧に亀頭を舐め回し裏筋をなぞる。そうやって一心不乱に、ロルフの男性器を綺麗にすることだけに集中した。      2  ロルフ・ヴァン・マイヒェルベックにとって、この世に存在する全ての物事は美しいか美しくないかの二択だった。ロズワール邸で見たエミリアという少女は美しかった。腰まで届く長い銀髪に紫色の瞳が印象的だった。それに首から下も実に抱き心地のよさそうな体型をしている。若い肌を惜しげもなく晒し、胸の谷間を見せつけるファッションは誰の趣味だろう?  世間では銀髪のハーフエルフは不吉だと嫌われている。それはかつて世界中を混乱に陥れた『嫉妬の魔女』を想起させるからだ。しかしロルフは世間の基準になど流されない。彼から見たエミリアは文句なしに美しい少女であり、好みのタイプだった。  ロズワール邸で実際にエミリアの姿を目にしてからは、如何にして彼女をベッドに連れ込み、無垢な少女に性の悦びを教え込んでやろうか考えていた。  肝心のエミリアの周囲には邪魔者が何人もうろついている。まずラムとレムと呼ばれていた双子の使用人が常に主人を守ろうと目を光らせており、近づく隙がなかった。  だが運はロルフに味方したらしい。双子姉妹のうち妹のほうが単独で奇襲を仕掛けてきた。レムは青髪の美少女で、長く伸ばした前髪により右眼を隠している。姉のラムに比べ物腰や語調こそ柔らかいものの、胡散臭い男に向ける警戒の眼差しは姉以上だった。  ロズワール邸を辞したあと、ロルフは屋敷に監視用ミーティアを仕掛けるため戻った。彼を尾行していたレムは、男の怪しい行動を見つけるや否や襲いかかった。鬼族の膂力を生かした鉄球での攻撃は、もしロルフが見た目だけの男なら瞬殺されていただろう。だが彼は騎士を名乗るだけの実力者だった。  レムを返り討ちにしたロルフは彼女を犯した。鬼かわいいメイドの下腹部に淫紋を植え付け、術者に逆らえない性奴隷にしたのだ。  その後、彼はレムを調教し手駒にした。レムは命じられるがままロルフのために情報を集め、彼にエミリア陣営の動きを報告する忠実な間者に成り果てた。  あれから数日経ち、舞台はロズワール邸から王都に移った。いよいよ王選が本格的に始まる。エミリアたち王候補が王都に集まった。 「本当にこれを着て、するんですか?」  そう言ってレムが恥ずかしそうに身をよじる。彼女が身にまとっているのは、ノースリーブの上着にタイトなミニスカート。胸元は大きく開いていて、たわわな胸がこぼれ落ちそうだ。太ももまでの黒いストッキングが、ガーターベルトと相まっていやらしい雰囲気を漂わせている。ミニスカートの丈は、床に落ちた物を拾おうと前屈したら下着が見えてしまうくらい短い。  露出度の高いその格好だけで男を誘っていると言われても仕方ない服装だ。レム自身も羞恥を感じているのか頰は紅潮している。  そんなレムを見てロルフは満足そうに笑う。 「よく似合ってるじゃないか」  男の賛辞に、レムの顔がさらに真っ赤になった。「そんなわけないじゃないですか!」  王選会議に出席するエミリアに付き従い、レムも王都にやって来た。それを幸いとしてロルフはレムを自分の屋敷に呼び出したのだ。 「他の人間には気づかれないようこっそり俺の家に来い」  淫紋を介した命令に逆らえないレムは、行けばどんな扱いを受けるか分かっていながらロルフの屋敷を訪れた。  案の定、レムが部屋に入るなりロルフは彼女に服を脱げと命じた。当然、レムは反抗したが結局は逆らうことができず、彼が用意した衣装を身につけることになったのだった。 「レムちゃんって背が小さいから大人っぽく見えないけど、こうやって見るとちゃんと魅力的な体してるよね」  ロルフはベッドの上に腰掛けると両手を広げて、隣に座れとレムに合図をする。 「いやです」  淫紋を介した命令ではなかったため、レムはロルフの隣に座ることを拒否した。たとえ最後は彼の命じるままになるとしても、私は自分の意志であなたに従っているのではないと示しておきたかった。  レムに拒絶されたロルフは、肩をすくめて「まいったね」と笑うだけだった。この関係に適度な刺激を与えるスパイスとして、彼は少女のささやかな抵抗を楽しんでいた。 「じゃあその格好のままこっちに来て、俺の服を脱がしてくれ。メイドならご主人様の身支度も慣れたものだろう?」  今度は淫紋に魔力を通しての命令だ。レムはのろのろと男のほうに歩み寄った。  ロルフがベッドから立ち上がるとレムは彼の前に跪く。そして少女の小さな手が、男のズボンを降ろすと、既に半勃ちになっている男根が現れた。レムはそれを両手で掴むと、恐る恐る口に含む。舌を使いながら喉の奥深くまで飲み込んでいく。 「俺はレムちゃんに服を脱がせてもらいたかっただけなのに、レムちゃんはそれさえ待ちきれないくらい俺のチンポがほしかったんだな」ロルフは優しくレムの頭を撫でる。  レムは悔しそうな上目遣いでロルフを睨んだが、そうやって反抗心を燃やせば燃やすほど、淫紋の主――この場合はロルフだ――のチンポがほしくなってしまうところが、この術の厄介な点だった。 「うっ……んん、ちゅぷ……ふぁ、んぅ……んむぅ」  レムは小さな口を精一杯広げて懸命に怒張を咥え込んでいる。頰が凹み、口腔粘膜で擦り上げられる感覚が心地よい。時折喉奥まで迎え入れようとして嘔吐いているが、涙目になりながら健気にご奉仕を続けていた。  ロルフの手がレムの耳を弄ぶ。レムはぴくっと体を震わせたが抵抗はしなかった。耳の形を確かめるように撫でられたあと、指が首筋へと下りていく。指先がうなじの辺りを軽くくすぐる。 「ふっ……んっ、んぁ」 「やっぱりレムちゃんはいいなぁ。こんな可愛い子に奉仕してもらえるなんて、それだけで男に生まれてきたかいがあるよ」 「んぐっ!」  レムの口内を圧迫していたモノの大きさが増すと同時に、先端から苦い液体が流れ出てくる。膨張したチンポに押し出され、レムの口の端から唾液が漏れ出す。 (また飲まされる)  嫌悪感とは裏腹にレムの体は反応してしまう。喉がゴクリと鳴り、精液を飲み下すための準備運動を始めてしまう。男根の先端から漏れ出す先走り汁と自分の唾液を一緒に啜り、レムは少しずつ、味わうようにして卑猥な混合液を飲み干していく。  男が出す体液の味、臭い、喉越しがレムを狂わせる。彼女の下腹部が熱を帯び始め、股の間から蜜が溢れ出るのを止められない。タイトスカート姿で男の前に跪き、大きく脚を広げた格好でフェラチオに熱中する姿は、恥じらいも忘れチンポに夢中になるエロ女そのものだった。  エロ蹲踞でずり上がったスカートから真っ白い臀部がこぼれ出る。純白のショーツにも負けない、きめ細かい美白尻がくねくねと左右に揺れるのは、ロルフのデカチンを咥えながら彼に犯された記憶を思いだしているためだ。淫紋の刻まれた下腹部を疼かせ、レムの膣内が淫猥な愛液で潤っていく。 「はぁ、っんむ、むぅ、ぢゅるるっ♡」  目の前にあるのは自分をイキ狂わせ、弱い女に変えてしまうデカチンポ。またこれを陰道の奥深くまで突き込まれたら、レムは自我を保っていられる自信はない。  今のレムは、自分で自分を駄目にする武器を研ぎ澄ませ、準備している状態だった。それが分かっていても彼女は目の前のチンポから口を離せない。ただ単に命令に従っているだけではない。淫紋によって強化された性欲は、もはやレム自身の理性では抗えないところまで高まっている。 「そんなに熱心に見つめられたら俺も興奮してくるよ」 「見つめてなんていません」  ロルフは笑い出しそうになってしまった。いま、レムの前に鏡を差し出したら、彼女はどんな反応を見せてくれるだろう?  レムは目の前の雄の象徴を愛おしく舐めまわし、しゃぶり上げ、媚びた視線を送り続けている。本人は気づいていないようだが、その姿は浅ましく貪欲な雌犬そのものだ。自分が発情していることにも気づかず、一心不乱に雄の性器を求める淫乱メイド。ロルフは優越感に浸りながら、レムの頭を撫でてやった。 「よしよし、よく頑張ったな。偉いぞ」  優しい言葉とは裏腹に、ロルフはレムの頭を押さえつけ、自分の股間に押し付ける。彼女の喉の奥までペニスを押し込んで射精した。  熱く粘ついたザーメンが胃に直接流し込まれる感覚に身震いし、レムは絶頂に達した。体が痙攣して、その場にへたり込んでしまう。だらしなく開いた口から白濁液がこぼれ落ちた。  淫紋で結ばれた主従の間では、主人のあらゆる体液が従者を狂わせる媚薬となる。その中でも、最も雄の成分が濃い精液を口から取り込んだのだ。レムは全身を満たす淫気で正気を失いそうになる。だがまだ理性を投げ捨てるわけにはいかない。主人を満足させるまでは終わらないのだから。 「そろそろいいか?」  レムは蕩けきった頭でコクンとうなずく。ベッドに上がるよう指示され従うと、仰向けになった男に跨った。タイトスカートは穿いたまま、下着だけをずらして、男の巨大な亀頭の上に腰を浮かせた姿勢で待つ。  これから起こることへの期待で胸がはち切れそうだ。そう、たしかにレムは期待してしまっている。自分をレイプしたロルフのチンポに、早く蹂躙してもらいたいと思っている。そんなことは道徳的に間違っていると頭で考えても、はしたない蜜をこぼしながら雄しべとの結合を待つ陰唇の動きを止めることはできなかった。 「自分で腰を落として挿れるんだ」ロルフが命じた。  レムは、ゆっくりと腰を下ろす。男の巨根が侵入し、秘所が押し広げられていく。肉襞をかき分けて、熱い肉の棒がレムの中を満たしていった。 「ああぁあぁぁああっ♡♡♡」  ロズワール邸裏でレイプされて以来の性交だが、淫紋の作用によりレムに苦痛はまったくなかった。むしろ、快感しか感じられない。憎い男のグロテスクなまでに巨大で卑猥な形のチンポを、自らのヴァギナで咥え込んでいく。それは愛する男に自分の意志で奉仕するかのような体位だった。  だが、これは愛の営みではない。自分は男の欲望のままに体を使われる性処理道具に過ぎないのだと、レムは己の立場を思い出す。だから、どんなに気持ちよくても感じてはいけない――レムは頭の中で、必死に己へ言い聞かせた。  しかし、それを打ち消すかのように、淫紋が甘い電流を流してくる。子宮の奥から湧き出る快楽物質が、全身隅々にまで染み渡っていき、彼女の意思に反して肉体を蕩かしていく。  もう耐えられないとばかりに、レムの腰が大きくバウンドする。自分から激しく動き始めてしまったのだ。もはや完全にロルフ専用となってしまったレムマンコは、騎乗位で上下に踊る度に大量の愛液を吹き出した。雌の発情臭を撒き散らす本気汁が男根をしごく手伝いをしていた。 「レムちゃんまんこ、ぬるぬるで気持ちいい~。もっと締め付けて」 「言わないで……くだ、さい……」  羞恥心を煽るロルフの言葉に、レムの顔が真っ赤になる。いくら拒否しても淫紋に魔力を通されてしまえば、少女の抵抗など濡れ紙を破るよりも容易く突破されてしまう。レムは下半身に力を入れ、きゅうきゅうと蜜壺を締めつけた。そうすると膣壁と密着したロルフの陰茎の形がより鮮明に分かってしまう。 (表面がゴツゴツしてて、細かい凹凸まで引っ掛かってきます……それに、すごく硬いっ!)  ロルフは少女の反応を楽しみながら、下から突き上げるようなピストンを繰り返す。二人の間でレムのおっぱいが、ゆさゆさと揺れ弾んでいた。その光景に誘引された男の手が、少女の乳房を下からすくい上げるように揉む。  たぷたぷと左右に揺らしたり、乳房に指が沈み込む感触を楽しみながら何度も揉んだり、四本指で乳房を揉んだまま人差し指で乳首を転がしたり。男の手はレムのおっぱいをあらゆる角度から味わうように弄んだ。  レムの乳頭は敏感だ。彼女の乳首は男の手遊びに反応し、コリコリに固くなっていた。指で摘まれると甘い声が抑えられなくなる。 「やあっ、おっぱい、揉んじゃっ……んっく、おっぱい、気持ちいいっ……」  胸からの刺激で淫紋が活性化する。その熱さが全身を駆け巡り、血液の流れに乗って脳まで届くと思考が溶け、何も考えられなくなる。もう何も考えられない、考えられなくしてほしいと、頭の中の情動的な部分がレム自身に訴えかける。  ロルフは、さらにレムを追い込むように、両方の親指と人差し指で両の突起を強く挟み、こりっこりっと捻るように捏ね回した。敏感な部分に与えられた刺激にレムが悲鳴を上げる。 「や、やめ……♡ くはっ……はあっ、ああ……んううううううっ……!」 「気持ち良くなってるだけじゃなく、そろそろ報告もしてほしいな。エミリア周りは最近どうなってるんだい?」  乳揉み騎乗位で下から攻めつつ、ロルフはレムに間者としての働きも求めた。 「んっ、ふぁ、はぁ……んっんっんっ、んんんっ! ぁあんっ!」  自分から聞いておきながら、ロルフはレムが返事をするより先に、少女の膣奥めがけてチンポを突き上げた。子宮口をハードヒットされたレムの喉から嬌声が溢れる。 「レムちゃん答えてよ。命令拒否?」 「ひゃだ……駄目、です……そんなに、突かれ、たらぁ!」  レムは快感で呂律が回らない。その間も愛撫を受け続ける乳首は痛いほど張り詰めている。淫紋によって感度が増したそこは痛みすら覚えるくらい過敏になっていた。それなのにロルフは容赦なく二つの突起をこね回し、摘み、引っ張る。 「い゛いっ! ご、めんなっ、さ、いっ! もう、らめ、や……あ゛っ!」 「答えられないのか?」 「ご、ごめんなさいぃ! いひいぃっ!」 「それならこう言ってよ」と男は、レムに囁いた。 (そ、そんなこと言えない!)  レムは首を横に振るが、淫紋による誘導で勝手に口が開いてしまう。 「レ、レムは、おまんこが気持ち良すぎて、頭が、馬鹿になって、ロルフさまのおちんぽで、イカせてもらわないと、報告ひとつ満足にできない駄メイドです」  レムの言葉を聞いた瞬間、ロルフは素速く上半身を起こした。そして彼女を押し倒した。あっと言う間に天地が逆さまになり、男女の位置が入れ替わる。 「レムちゃんの綺麗な脚にキスさせてよ。ご主人様がメイドの脚に口づけるなんて本来は立場が逆だけどね」  ロルフはレムの細い足首をつかむと、彼女の両脚を持ち上げる。レムの股は大きく開かれ、ロルフの眼前には少女の秘密の花園がさらけ出されていた。そこを大きく割り開き、何度も出入りする自分の肉茎も丸見えだ。 「いやっ、駄目っ!」 「どうしてだい? こんなに綺麗で美味しそうな脚をしてるのに。俺が味わってあげないともったいないだろ?」  男は少女のふくらはぎへ黒ストッキング越しにキスを繰り返した。そのまま彼の唇は先端へと回り、レムのくるぶしや土踏まずの部分にも押し当てられる。  他人の唇が足に触れることなど使用人の人生では経験あるはずがない。レムはこれまで感じたことがない、むず痒さに身をよじらせた。 「やっ♡ そんなとこ舐めちゃ……汚いですからぁっ!」 「可愛い女の子の体に汚いところなんてないよ?」  レムの懇願をよそに、ロルフは丁寧に足の指一本一本に至るまでキスし、舐めしゃぶり、吸い上げる。時には甘噛みし、歯形をつけたりもした。 「ふぅうんっ、やぁ、そこばっかり……」  ロルフはレムのガーターベルトを外す。彼女の脚を飾っていた黒ストッキングを脱がせ、ベッドの脇に投げ捨てた。そして自分の腰にレムの両足を巻き付けさせる。これでもう、レムは逃げられない。再び男の性器を咥え込むことになってしまったのだ。 「それじゃあいくぞ」ロルフはレムの中に挿れた状態のまま、体位を変えるためにレムを抱き上げた。 「きゃふっ!」  いわゆる駅弁スタイルで、二人は繋がったままベッドから下りた。レムの体重がかかることでロルフの男根はさらに奥まで入り込む。その衝撃でレムは軽く達してしまったらしい。膣が痙攣し、襞の一枚一枚が生き物のように蠢く。 「くっ……すごいな、搾りとられそうだ」  ロルフはレムを落とさないよう慎重に歩く。一歩進むごとに振動が伝わり、レムは軽い絶頂を幾度も繰り返した。  必然的に、二人の顔の距離が近くなる。レムの小さな唇を奪おうとロルフが顔を寄せると、彼女は顔を背けて逃げようとする。その仕草が逆に可愛らしく感じられ、彼は口元を緩めた。 「レムちゃんは恥ずかしがり屋さんだね。キスしやすいようにこっち向いてごらん」  淫紋の支配下に置かれたレムに拒否権はない。彼女は瞳を潤ませながらもロルフの命令に従い、おずおずと唇を差し出した。 「んむっ! ちゅっ……んんんっ! はぁ、むぅうう♡」  お互いの舌を絡ませ、唾液を交換する濃厚な口付け。ロルフの舌先がレムの口内に侵入し、歯をなぞっていく。口蓋を舐められ、頬の内側を擦られ、口の中の粘膜という粘膜を舐め回され、レムは快感に震えた。  その間にも男の肉竿は抜き差しを繰り返し、レムを追い詰めていく。子宮の入り口をノックするように小刻みに揺さぶられ、その度にレムの口から甘い声が漏れ出た。淫紋の力だけではない。レムの肉体が己の初めてを奪った男の肉棒に馴染んでしまっている。 「ふぁ、ちゅぷ……じゅるる……れろ、れるるぅ、んんっ!」  レムは無意識のうちにロルフの舌へ自らの舌を絡めていた。まるで恋人同士のような熱烈な接吻。これは愛の営みではない。淫紋の力でロルフの望むままに行動させられているに過ぎない。それを思い出してレムは闘争心が耐えないようにする。だが、そうすればそうするほど、淫紋はレムの肉欲を高め、ロルフのチンポを求めるよう彼女の思考を上書きしてしまう。 「はぁっ、んんぅっ! ちゅっ、ぢゅるるる~ッ♡♡♡」  レムは全身の力が抜け、ロルフの首に抱きついていることもできない。男に支えられなければ床に落ちてしまう状態だった。完全にロルフに身を任せてしまっている。  レムの限界が近いと見るや、ロルフは彼女を近くのソファに下ろした。タイトスカートが腰までめくれ上がり、もはや何一つ隠せていない美少女の両脚を限界まで広げさせ、自分はそこへのしかかるように体重をかけた。 「はぁぅ、んぅっ……んっ、んむっ、ぢゅぷっ、ぢゅぱっ、ぢゅるるっ……ぷはぁっ!」  レムはキスハメに夢中だ。彼女の脚はロルフの肩に担がれ、つま先だけがぷらぷらと揺れている。何も知らない者がこの部屋に入ってきたら、精力旺盛な男が美人秘書をソファの上で犯しているように見えるだろう。その見立ては当たらずとも遠からじと言ったところか。  ロルフはレムにとどめを刺そうと本腰を入れてピストンした。少女の弱点を責め立てるような激しい抽送に、レムは髪を振り乱して悶え狂った。 「ひぁ、や、だめぇ! こんなっ、あっ、ひいぃんっ! こ、これ以上は、あひぃん、も、もうだめぇええっ! もっ、もうっ、むりぃっ、もうむりぃいい! ――ああぁあ゛っ!」 「まずは一度イカせてあげないと、うちの好色なメイドさんは報告ひとつできないらしいからな」 「そ、そんなのぉおおっ! あぁああっ、だめぇっ……イクっ……イキます!」 「よし、イッていいぞ。俺も一緒に出すから」 「あ、あの、中だけは……中には出さないでくだひゃい……」 「それは無理な相談だな」 「そんなっ……お願いします……レムは、あなたの子供は嫌です……」 「駄目だね。そんなこと言われたら余計に産ませたくなるだろっ!」 「ああぁぁあっ! 熱いの出てましゅうぅううっ!」  絶頂の衝撃に身悶え、暴れる少女の体をソファに押し付けて、ロルフは彼女の膣内に精液を吐き出し続けた。 「ふう、スッキリしたな。それじゃ報告のほうもよろしく」  射精し終えるとロルフは素早く頭をエミリア攻略に切り替えた。  レムの報告によれば、王選会議のあとエミリアと使用人のナツキ・スバルとの間で一悶着あったらしい。  スバルの名前を聞くとロルフは苦虫を噛み潰したような顔になる。  スバルはロズワール邸でもロルフを警戒し、何かとちょっかいを出してきた男だ。誰が見てもスバルはエミリアに気があると分かる。彼女の前で格好つけたいのだろう。王選会議にもエミリアには秘密で乱入して一暴れした。  その席で騎士の名誉を汚す発言があったスバルを、ユリウス・ユークリウスが懲らしめたことも記憶に新しい。 「ユリウスのやつめ、余計なことをしてくれたもんだ」  王選会議中に起きたナツキ・スバルとユリウスの決闘騒ぎは注目の的になった。ロルフも会場で二人の決闘を見守ったが、あれは決闘などと呼べない一方的な制裁だった。ひたすら強者であるユリウスが、殺さない程度にスバルをいたぶっただけのこと。だがそれによってスバルの暴言に対する制裁は済んだという空気が騎士の間に流れた。  これ以上ナツキ・スバルに追加の制裁を加えることは騎士道に反する、という空気をユリウスは作り出した。結果的に彼は素人を滅多打ちにした騎士という汚名を被る代わりに、他の騎士からはスバルを守ったのだ。  それがロルフには気に食わない。ユリウスがいいカッコしなければスバルに制裁を課していたのは自分だったはずだ。ただし、そのときは決闘などという方法は用いない。暗殺である。容疑者は王選会議の場でスバルの暴言を聞いていた騎士全員。仮に犯人を探すとなっても騎士の大半は、本気で仲間を吊るし上げようとはしなかったろう。 「あなたはスバルくんのことが嫌いなんですか?」黙ってしまったロルフにレムが尋ねた。 「俺は美しいものが好きだ。では、俺が嫌いなものは分かるかな?」 「美しくないもの、ですか?」 「美の価値も分からないのにそれを欲しがる下賤な存在だ」  ロルフは己を美の信奉者、あるいは守護者だと任じている。彼にとって美は崇高なるものだ。ゆえにそれを貶める者は彼の逆鱗に触れることになる。  ロルフの目から見てナツキ・スバルは美しくない。見た目がというだけではない。その生き方、考え方、吐き出される言葉の一音までロルフの美意識を逆なでする。到底エミリアやレムのような美少女の傍にいるべき人物とは思えない。それなのに彼女たちに手を伸ばそうとする。そしてエミリアやレムもスバルのことを憎からず思っている節があった。  すべてがロルフの癪に障る。  彼にしてみればこの世で最も醜い存在が自分の最も愛するものに寄生し、搾取しているようなものだ。 「美しいものの傍にいれば、自分も美しく生きられると思っている――取るに足らない、つまらない己の人生に大した意味が生まれ、光り輝くと思っているような人間は大嫌いでね」  王候補に選ばれた少女たちはいずれも美しい。誰が選ばれても剣を捧げる価値があるとロルフは感じた。だが、どうせなら王の第一の騎士になり、最側近として働いてみたい野望も彼は持っている。  そのためには騎士が未定のエミリアは願ったり叶ったりの存在だ。 「スバルくんをどうするおつもりですか?」  心配そうな顔で尋ねるレム。ロルフはふっと笑い、少女の頰に手を添えた。そしてゆっくりと顔を近づける。唇が触れ合いそうになる瞬間――少女が顔を背けた。 「レムちゃんは害虫を見つけたらどうする? 駆除するだろ。その方法が叩き潰して殺すか、自分とは関係ない場所へ逃してやるかは、その時の状況と気分次第だ」  レムは一瞬きょとんとしたが、すぐに意を決した顔になる。そして両手で男の頬を優しく包み込むと、自分から唇を重ねた。 「う、む……んんっ、ぷあっ、ちゅぶ、ちゅっ……」  唇を離して恥ずかしそうに顔をそむけるレムだったが、またおずおずと唇を寄せてくる。今度は触れるだけでなく、ロルフの唇を舐め始めた。舌が唇を割って入り込んでくる。少女の小さな舌の感触に、男は満足げな吐息を漏らした。  この情熱的なキスもすべてはナツキ・スバルの助命嘆願なのだと思うと、改めてロルフはスバルへの嫌悪を深めた。果たしてレムのような美少女にここまでさせる価値が、あの男にあるのだろうか?      3 「あの、私に用ってなんでしょうか? できれば早めに帰りたいのですが……」  エミリアはアメジストのような瞳を不安気に揺らし、テーブルの向こうに座る男を見つめる。今朝早く王都を出立し、ロズワール邸に帰ろうとしたエミリアを彼が呼び止めたのだった。  エミリアは男が先日、ロズワール邸に一泊していった騎士であることは思い出せたが、その騎士がなぜ自分の出立を見計らったかのように現れ、引き止めたのかまでは理解できなかった。  困惑しているうちにエミリアは男の口八丁に乗せられ、まんまと彼の屋敷を訪問する流れに誘導されてしまった。  ロルフからしてみれば、エミリアのような世間知らずの少女を丸め込み、自分に優位な場所へ引きずり込むなど造作もなかった。男を警戒してぎこちない態度のエミリアに、彼は茶を勧めながら世間話のような会話を投げかけていく。そのうちに話題は自然に、王選で起きた出来事に移っていく。 「いや、しかし、ナツキ・スバルでしたか? 彼の言動にはエミリア様も困惑されたご様子でしたね」 「……そんなことは」  エミリアは言いづらそうに答えた。ここ数日は王選絡みのゴタゴタで疲労困憊だった。特にスバルの件ではかなり気を遣わされ、心身共に疲弊しきっている。彼に対してどう接すれば良かったのか今でも答えは出ていない。 「あのような従者を連れているとエミリア様の格式にも関わってきますよ。失礼を承知で申し上げますが、王候補の騎士として実力も格も他の候補の騎士には遠く及んでおりません」  そんなことはエミリアも分かっている。だから彼を巻き込みたいくないのだ。それなのにスバルはエミリアの心を理解しようとせず、王都にまでついて来てしまった。  ロルフは俯くエミリアの様子をしばらく観察していたが、彼女の心を開かせるために少し趣向を変えることにした。  紅茶の入ったティーカップを手に取ると一口飲み、それからテーブルの上に置いた。 「どうぞ。冷めてしまわないうちに飲んでください。この茶葉には精神の疲労を取る効果があるんですよ」  怪しいものなど入ってないと示すように、ロルフは再びティーカップを持ち上げた。その所作につられてエミリアもカップに口をつける。確かに良い香りがして心が安らぐような気がする。このところ立て続けに起きた出来事で凝り固まっていた心がほぐれるようだ。  ロルフが用意した茶葉には飲んだ人の気持ちを緩める効果があった。媚薬や自白剤ほど明白な効果ではなく民間療法のようなものだが、張り詰めていたエミリアの緊張を緩めるには十分だった。  誰かに相談したいけど誰にも言えない、頼りたいけれど頼れる人がいない、そんなエミリアの心境を見透かしたように彼は彼女が心に溜め込んでいた思いを巧みに聞き出していく。もちろん、すべての悩みは事前にレムから得た情報で把握していた。それに対する回答も準備済みだ。  用意周到なロルフはエミリアの悩みに対して、的確な答えを返すことで彼女を籠絡しにかかった。あなたの悩みを本当に理解し、手助けして差し上げられるのはあんな身勝手な小僧ではなく、私のような理解と包容力のある男なのだと言葉巧みに彼女の思考を誘導した。 「……でも、私にはスバルに数えきれない恩があります。せめてそれを返し終えるまでは……」 「恩? まさかそんな言葉で彼はエミリア様を縛ろうとしたわけではありませんよね」  エミリアが目を伏せて押し黙ると、それが正解だという意味になってしまう。ロルフはさらに続けた。 「ナツキ・スバルとエミリア様の間に何があったか私はすべてを把握しておりません。しかし過去の出来事を恩に着せて行動を縛ろうとするなど、やり方が卑劣ではないでしょうか?」 「で、でも……」 「しかも自分からエミリア様との約束を破っておいて、自分のやることを絶対的に信頼してほしいなど、あまりにも身勝手ではありませんか? そんな不義理を許してしまうエミリア様は、とても寛容で慈愛に満ちあふれた方です。ああ、さすがは王になる御方だ」  もはやエミリアは完全にロルフの手の内にあった。彼の芝居がかった台詞回しに反論することもできず、ただ心の内を吐露してしまうばかりだ。すでに口調からも硬さが消えていることに彼女は気付いていなかった。 「ナツキ・スバルがどのような人間なのか、彼と過ごした時間はまだ短い私にもある程度は推測できます。あの男は自己中心的で、浅慮であり、エミリア様のためと言って自身の勝手な理想を押し付け、それが通らないとなれば怒りを爆発させる。思慮の足らない子供そのものでしょう?」  そんなことはないとエミリアは心の中で反駁するが、その言葉は口から出てきてくれない。「そのような人間に何を言っても無駄ですよ。ナツキ・スバルのような男に何を言ったところで、俺のエミリアはそんなこと言わないと身勝手な理想の押しつけで返され徒労に終わるだけです。心当たりはありませんか?」  ないとは言えない部分があるだけに、エミリアは何も言えなくなってしまう。  そのままロルフはソファから立ち上がり、エミリアの隣に腰掛けると彼女を抱き寄せた。いきなりの展開に動揺して身動きできないでいるエミリアに顔を寄せ――ロルフは強引にハーフエルフの少女の唇を奪った。  驚きに見開かれた紫色の瞳がロルフの顔を映し出す。 「やめてください」  我を取り戻したエミリアはロルフの胸を突き飛ばす。意外な抵抗の強さに驚きつつ、ロルフは彼女の両手首をつかんだ。そして再び唇を重ねていく。彼は少女の細い腰に手を回し、引き寄せてより深く接吻する。舌で歯をこじ開ける。無垢な少女に考える時間を与えない性急な口づけだった。 「んぐっ、むぅうううっ! ふむぅっ、んーっ、んむっ、んんんっ!」 「もうこれ以上の言葉など不要でしょう。エミリア様、私は騎士としてだけでなく、男としてもあなたがほしい。あなたが万が一にもナツキ・スバルのような、つまらない男の物になることなど考えられない」  キスから一時的に解放されたエミリアは、酸欠と羞恥で顔を真赤にしていた。 「こ、こんなの……ひどい……」  涙目になりながら非難してくるエミリアの表情は、男の嗜虐心を掻き立てる。ロルフは彼女のほっそりとした首筋を舐め上げ、耳元で囁くように言った。 「そうです、私はひどい男なのです。だから、これから起きる出来事は、全部ひどい男のせいにしてしまいなさい。エミリア様は何も悪くありません。悪いのは、ひどい男の情熱に流されるくらい寂しい思いをさせた、あの男なのですから」  俺の責任にしろと言いつつ、最終的にはナツキ・スバルに責任転嫁するロルフ。彼はもう一度彼女に口付けた。少女の薄い舌に対して成人男性の舌は肉厚で力強かった。口内に侵入すれば簡単にエミリアの舌を押さえつけ、持ち上げ、好き勝手に蹂躙できてしまう。彼女の性感帯を探るように頬の裏側を舌で撫で、舌下を舐め回した。 「ロルフ様♡ あっ♡ んっ♡ はぁ♡ はむっ♡ ちゅっ♡ じゅるっ♡」 「ロルフとだけお呼びください。これから私も二人きりのときはエミリアとお呼びします。良いですね?」  口の中で激しく暴れる男の舌に怯え、身をすくませるエミリアだったが、徐々に力が抜けていった。それは嫌悪感から来るものではなく、全身の感覚が蕩けていくような甘い疼きによる脱力だった。  男の勢いに押され後ろに倒れてしまいそうな彼女は、自分の身を支えるためロルフの首に腕を回した。そうしてしまってからエミリアは、まるで自分からキスをねだって彼に抱きついてしまっているような格好ではないかと気づく。だが気づいたからとて彼女の腕がロルフの首から離れることはなかった。  むしろさらに強く抱きしめ密着する姿勢になる。 (なんで? なんで私、こんなにドキドキしてるの?)  自分の体に起こった変化についていけず、エミリアの頭はさらに混乱していく。自分の心臓が早鐘を打っていることにも気付かないほどに、意識は熱っぽくぼんやりしていた。それでも自分の中に未知の感覚が生まれていることだけは理解できてしまう。 (やだ、これ、変な気分になっちゃう!)  男と女のことなど知らない純情な少女でも、その身には本能としての雌性を宿している。信じていた男との不和を経験し、今後どうすれば良いか弱り、悩んでいたところに現れた別な男からの情熱的な求愛。エミリアの中の女が、それに応えろと叫んでいるようだった。その衝動に逆らえず、体が反応してしまうことにエミリア自身戸惑いを覚える。だが、それもロルフの舌が唇を割り開いて歯列の裏を撫でれば、どうでも良いことのように思えてきてしまうのだ。  唾液を流し込まれ嚥下させられながら、エミリアの脳髄はその感覚を追いかけることに夢中になっていく。  もう自分が何をしてるのかも分からないまま、エミリアは彼の動きに合わせて舌を絡め合わせ 「んぅっ♡ ああぁ……やぁ、らめれす、わらひ、こんらぁ♡」  口を塞がれているため呼吸が苦しい。舌が縺れてろれつが回らなくなってきた。思考能力が低下していってるのが自覚できる。頭が真っ白になって何も考えられない。ただただ気持ちよくなりたいという思いだけが強くなる。 「はふっ、ふわぁっ、らめぇ……あたま、ふわふわしてぇ、なんにもかんがえられなくなっちゃう」 「大丈夫、何も考えなくていいんですよ」今度はエミリアの耳を甘噛みするロルフ。 「ふぁあああぁあ♡♡♡」  背筋を駆け上るゾクゾクした感覚に絶叫を上げるエミリア。今までで一番大きな声が出た。 「さっきも言ったでしょ。これは全部ひどい男のせいなんだって。今この状況に責任あるひどい男は誰か覚えていますか? エミリアの信頼を裏切り、寂しい気持ちにさせた男のことですよ」  ロルフは自分のことを棚上げし、この責任をすべてをスバルに丸投げした。彼の誘導尋問に乗せられたエミリアは、その言葉の意味を考える余裕もない。ただロルフの言葉にうんうんとうなずいてしまうだけだ。 「はい、らからぁ、ぜんぶスバルのせいらからぁ。らから、もっろして♡ わたひのこと、もっときもちよくして♡」  ロルフは満足げに頷くと、もう一度彼女の唇にキスをする。 「そうだ。エミリアのような美女、本音では男なら誰もが狙っているんだ。だから本当に独占したいなら片時も寂しい気持ちになんかさせてはならない。常に可愛がって満たしてやらないといけないんだ。それを怠ったナツキ・スバルが何もかも悪い。いいね?」 「はいっ、わかりました」  瞳をとろんと潤ませ、完全にロルフの虜になってしまったエミリアは、うっとりとロルフを見つめ返事をする。紅茶でリラックスしたエミリアの頭には、男の声がよく響いた。  その答えに満足すると、ロルフは優しくエミリアの頭を撫でた。 「それでいい。これからは俺がエミリアを守ってやる。あんな小僧にはできない方法でな。エミリアは何も考えず、俺に身を委ねてくれれば良いんだ」 「……はぃ」従順な態度でうなずいたエミリアだったが、すぐにハッとした表情になる。「ち、ちがう! わたしはこんなこと望んでないわ!」  茶葉の効果で意識が緩んだところへキスと共に裏切りの言葉を吹き込まれたエミリア。そのまま場の雰囲気に流されそうになったが、既の事で正気を取り戻した。しかし慌てて訂正するその姿はどこか弱々しく、男の提案を受け入れたときに比べ自信なさげだった。 「そうか。残念だが、どうせすぐに頷きたくなる」  ロルフは背中を丸め、キスの狙いをエミリアの唇から彼女の乳房へ切り替えた。ドレスから露出する真っ白い乳房にちゅっとくちづけると、そのまま赤い跡が残る場所を優しく舐った。 「やっ、そんなところ舐めたらだめです! 汚ないから!」  突然のロルフの行動に驚くエミリア。そんなところを他人に舐められるなど初めての経験だった。彼女は顔を真っ赤にしてロルフの手から逃れようとするが、ますます強い力で押さえつけられて身動きが取れなくなってしまう。  彼はドレスを歯で咥え下に引っ張った。デザートのように柔らかく、甘い匂いを漂わせた乳房がぷるんとお目見えする。乳首はすでに勃起しており淡い桜色に染まっていた。  それを見たロルフは舌なめずりをして言う。 「汚れてるかどうかは舐めてみれば分かりますよ」  ロルフは舌を伸ばしてゆっくりと近づいていく。その湿った生暖かい感触が胸に迫ってくる光景を見て、エミリアは息を呑んだ。 「――っ♡♡♡ はっ、ああっ……はぁあああ~~っ♡♡♡」  ぬめりとしたものが先端に触れた瞬間、エミリアの胸から全身へ稲妻のような快感が走る。乳首が舌で捏ねくり回され、乳輪に沿って舐められ、そして甘く噛まれるたびに、エミリアの体から抵抗する力が抜けていく。  触れられているのは乳頭なのに、どうしたことか下腹がムズムズとしてきて、両脚の付け根が落ち着かない。  下腹部を中心に熱い何かが広がっていき股の間に湿り気が生まれるのを感じた。その違和感が何なのか、それさえも考えられなくなってくるほどに理性が崩壊していく。 (なんで? こんなのおかしいはずなのに)  ロルフの愛撫は巧みなだけでなく、丁寧だった。じっくり時間をかけてエミリアの体を開発し、自分に馴染ませていくつもりだ。  ロルフは乳頭を中心にエミリアの乳房を口いっぱいに頬張る。ちゅうっと強く吸ったかと思うと、今度は乳輪や先端の尖り粒を優しく舐め、緩急をつけた責めで処女エルフを翻弄した。  百戦錬磨の手管に酔いしれながら身を捩るうち、エミリアは何度も淫猥な気持ちを言葉で表現したくなってしまう。そんなはしたないことはできないと恥じらいを見せていた彼女の耳元で、ロルフはそっと囁いた。 「その我慢、どこまでもつかな?」  意地悪なことを言われた瞬間、また子宮に切ない熱が篭るような感覚をエミリアは感じた。同時に秘所がひくつき、とろりと蜜を垂らした。  体の中で渦巻いているもどかしい熱の正体が分からないまま、エミリアはとにかくそれを押さえようと太ももをすり合わせる。 (なんで? わたしったらどうして……)  エミリアは自分の体の反応の意味が分からず戸惑うばかりであった。  処女のエミリアには不可解な出来事も、ロルフには幾度となく繰り返してきた手順だ。彼女の動揺を楽しみつつドレスから両方の乳房を完全に露出させる。そして彼女の乳首を舌先でツンツンと突きながら、反対側の乳首は指で磨り潰すように弄んだ。それだけでエミリアの吐息に甘い響きが加わるようになっていた。  ひとしきり両胸の果実の感触を堪能したところで、ようやくロルフは顔を離すと今度は両手でエミリアの胸を揉みほぐす。たっぷりと柔らかさと弾力を堪能する手つきで丹念に揉む。 「んっ……んあっ♡ ふぅうんっ……やっ♡ あああんっ♡」 「嫌と言う割には色気のある反応をしますね」 「ああぁっ♡ はぁあん……んっ、くうぅ……ふぁ、んはぁあああんっ♡♡♡」  エミリアの嬌声は次第に大きくなり、やがて耐えきれなくなったのか、自ら腰を動かして股間を擦りつけるような動作を見せるようになった。  そんなエミリアの無意識の媚態を愉しみながら、ロルフは彼女の胸への攻めを続けた。乳首が舌で捏ねくり回され、乳輪に沿って舐められ、そして甘く噛まれるたびに、エミリアの体から抵抗する力が抜けていく。たっぷりと唾液と舌の感触を教え込んだ後、ロルフは一度上半身を起こしてエミリアの様子を観察した。  彼女は悩ましげに眉をひそめ、頬を赤く染めていた。目は潤んで焦点があっておらず、口は半開きになっている。その口からは興奮でかすれた、荒い息遣いばかりが聞こえてくる。 「そろそろ準備はよろしいですね。場所を移しましょう」  ロルフはソファの上で脱力していたエミリアの体を軽々と抱き上げ、部屋を出ると廊下を迷いない足取りで歩いた。屋敷の奥のほうへと進んだ彼は、半開きになっていたドアから薄暗い部屋に入る。 「ここは俺の寝室だ。絶対に邪魔が入らない、この屋敷の聖域だよ」ロルフはエミリアをベッドに下ろしながら言った。  ひんやりとしたシーツの感触にエミリアは現実感を取り戻しかける。なぜ私は彼の寝室まで招かれたのだろう? と不思議に思う。そもそもなぜこんな状況になったのかと思い起こそうとしたとき、彼女が口を開くより先に、ロルフの手が伸びてきて彼女の顎を摑んだ。そのまま強引に顔を近づけてくる彼に対して、なぜか体は動かないままだった。されるがままに唇を奪われるエミリア。  唇の表面を軽く撫でるだけのキスだったが、それで十分だった。既に出来上がっている彼女の肉体には強烈な効果を発揮し、抵抗力を奪ってしまった。  唇を合わせただけなのに頭の中をかき乱されるほどの多幸感が襲ってきた。そのことに驚く暇もなく、再び唇が合わせられる。 「んっ、ふぅっ……ふ、ちゅっ……」  頭がふわふわと浮遊しているような感覚に、うっとりと目を閉じる。そうしてロルフに身を任せていると、自然と体から力が抜けていき、代わりに体の芯に熱い火が灯っていくのが分かった。  エミリアの女の部分が|理解《わか》ってしまうのだ。この経験豊富な年上の男性に任せておけば、間違いなく素敵な体験をさせてくれると。 「エミリアは本当に可愛いね。ここが疼いて仕方ないんだろう? さっきからずっと足をもじもじさせているじゃないか」  ロルフは唇を離して言った。彼の指はエミリアのおへそのあたりを優しくなぞる。たったそれだけのことで、彼女の子宮は切なく収縮する。  そこから溢れた蜜液が、ドレスの裏地をべっとりと濡らしていくのを自覚すると、エミリアは恥ずかしさのあまり逃げ出したくなるのだが、それ以上にもっと触れて欲しいと思ってしまう自分もいた。そんな浅ましい欲望が自分の中のどこに潜んでいたのかと恐れつつエミリアは、おねだりするような声を出してしまう。 「そんなこと、ないです……」  否定の言葉を口にしつつも、エミリアの手はロルフの腕を掴んでいた。恥じらいから発した通り一遍の否定を本気にしないでほしい。本当はもっとしてほしいという願望を込めて、彼の腕を掴んだのだ。  美少女のエッチなお願いを見透かした男は、お腹をさすっていた手をさらに下へ降ろしていく。 「あっ♡ あっ♡ あっ♡」  エミリアは初めて、乙女の秘めやかな場所に他人のタッチを許した。男性の指先がハーフエルフの柔らかい地球を優しくもみほぐす。焦らなくとも自分の物になるのだから、じっくりほぐして気持ちよくしてやろうとする余裕が感じられる触り方だった。 「あっ♡ あっ♡ な、何でっ! んっ! ふっ♡ くっ♡ あっ♡ あっ♡」 「気持ちいいかい?」  エミリアの耳元でロルフが囁いた。鼓膜をくすぐるその刺激だけで、彼女は腰が浮いてしまうほど気持ちよかった。それでも彼女は声を出さずに耐えた。キスやおっぱいで恥ずかしい声を出したあと、いよいよ陰部を触られてエッチな声を出しては自分で自分がコントロールできなくなると本能で感じたのだ。しかし、美少女の痩せ我慢は男の詰問を呼んでしまう。 「声を抑えてはいけない。せっかく綺麗な声をしているんだから、ちゃんとエッチな声で鳴いて男を悦ばせるんだ」ロルフはそう言いながら指を下着の脇から滑り込ませ、エミリアの蜜道を掻き混ぜ始めた。 「そ、そこぉ! ああぁっ!」ロルフの指が割れ目の内側を撫でた瞬間、今まで抑えてきた声が喉から迸った。その声を聞いた瞬間、自分の中で何か大切な一線を越えてしまった気がしてエミリアは愕然とするが、それも一瞬のこと。  すぐにロルフの指が膣内の様子を探るように抽送を始めた。愛液を潤滑油に抜き差しを繰り返す男の指が、これまでエミリアが感じたことのない快感を生じさせる。  ――グチュッ、クチャッ……ヌヂュルッ!  淫靡な音を立てながらピストン運動を繰り返すロルフ。彼は器用に指先を使ってGスポットを探り当て、集中的にそこを突き上げると同時にもう片方の手でエミリアの乳房を攻めた。 「アッ♡ ああっ、ああっ♡ そこっ……そこぉッ♡ そこぉ、はッ♡ はぁ、はぁ、あんっ♡」 「ここ、気持ちいいでしょ? エミリアは不吉なハーフエルフなんかじゃないよ。おまんこ気持ちいい普通の女の子なんだ。その証拠に、ほら、ここを擦る度に、こんなにもいやらしい汁が溢れてくる」  ロルフはそう言うと、中指と薬指をそろえて膣の中に挿れ、未開発の膣肉を傷つけないよう気をつけながら掻き混ぜた。エミリアは腰をくねらせて悶絶する。そんな彼女を見て満足げな表情を浮かべたロルフは、さらに責めの手を加速させていく。二本の指がまるで別の生き物のように暴れまわり、ざらついた膣壁を刺激した。それと同時に左手は乳房を握りながら、先端を人差し指で弾く。  上下の快感に反応し、秘裂の奥から新たな淫液が湧き出すのがエミリアには分かった。自分のエッチな汁がロルフの手を濡らしていくことに羞恥を感じる。 「これっ、すごいっ!」  初めての快楽に戸惑うエミリアは、ロルフの手の動きに合わせて無意識のうちに腰を動かし始めていた。それに気づいたロルフは、エミリアが自分で動けるよう手を緩める。 「はぁ、はあ、ああんっ……あぁああぁぁ……ああっ、やぁん、はぁぁ……んん、はぅう……んぁぁああ、はぁあ、ぁ♡♡♡」  ロルフが手の動きを止めても、男の指を咥えこんだエミリアは自分から秘所を押しつけてしまう。清楚可憐な美少女が手マンの気持ちよさを知ってしまい、ぐいぐいと自分から淫部を押し付ける様は実にエロティックで何度見ても良いものだ。 「俺の前では何も考えなくていいようにしてあげる。王選のことも迫害されてきたことも、何も考えなくていい。俺の前ではひとりのエッチで綺麗な女の子であれば、それで十分だ」 「んっ♡ んぅっ♡ んっふぅうっ♡」  甘い吐息と共に喘ぎ声を上げる少女を愛おしそうに抱きしめ、再び深いキスをしながら指の動きを再開させる。エミリアはもはや拒むことなくそれを受け入れた。ロルフの背中に両手を回すと、自ら腰を浮かせ彼の指を根本まで迎え入れようと動く。 「はぁっ♡ あっ♡ ん、はぁっ♡ もう、もうっ♡」 「イキそう?」  イクという言葉の意味さえもエミリアは知らない。だが、いま訪れようとしている大いなる存在との邂逅をその言葉で言い表すのなら、間違いなくエミリアはイキそうだった。未知の感覚への期待感から、彼女はこくこくと何度もうなずいた。  それに応えるようにロルフの指が一層強く膣壁を擦り上げると、お腹の奥がきゅんと締め付けられるような感覚が襲いかかり、頭の中で何かが弾けたような錯覚を覚える。これが絶頂なのだということを知らないまま、エミリアの身体は初めての感覚に支配された。脳髄を直接刺し貫かれたような強烈な感覚に全身が痙攣してしまう。全身を包み込む浮遊感にも似た解放感が彼女を包んでいく。  ロルフの腕の中でビクビクと身体を震わせ、脱力するエミリア。ロルフは彼女の髪を撫で、頬にキスをするとズボンを脱いだ。取り出したペニスはすでに限界まで勃起していた。暴力的なまでに反り返ったギンギンのペニスは、一刻の猶予もなくエミリアを犯したくて泣いている。 「俺のモノを受け入れてもらうよ」 「え? なに、を……」  朦朧とした意識の中でエミリアは、ロルフの巨大な肉棒を視界に捉えた。彼の手で濡れた下着を取り払われる。その最中もエミリアは抵抗することができなかった。  ロルフは彼女の濡れぼそった割れ目に、亀頭の先端を押し付ける。熱い剛直が処女の二枚貝をこじ開ける。 「あっ、あああ! これ、おっき……ああっああああ……は、入ってくるっ……ああっ……」 「力を抜いて。安心して全部俺に任せるんだ。いいね? すぐに大きなチンポ大好きにしてあげる」  ロルフは挿入時の痛みを少しでも和らげてやろうと、優しく声をかけてやりながらゆっくりと奥へ奥へと進めていく。途中で一度抵抗を感じたが、それを強引に突き破ると一気に最奥にまで到達した。  破瓜の瞬間、わずかにエミリアは身をすくめたが、すぐに体の力が抜けて柔らかくなりロルフのものを温かく包み込んだ。初めてとは思えないほどスムーズな挿入だったこともあり、エミリアはロルフをほとんど締め付けずに受け入れられていた。 「ふぅ、ふぅ、ふぅ……」 「よく頑張ったね。痛くなかっただろう? むしろ良かったんじゃないかい?」ロルフはエミリアの髪を手で梳きながら尋ねる。 「は、はい……」  ロルフが労わるように優しく話しかけると、エミリアはとろんとした目で答えた。その表情は多幸感に満ちていて、男に抱かれる幸福を感じているようだった。  女にそんな表情をされると、男はもっともっと構ってやりたくなるものだ。開通式を終えたばかりのエミリアの腟内で、ロルフは悪戯っぽいく男根を跳ねさせた。狭い膣胴内で雄の象徴が元気に飛び跳ねるたび、エミリアの口からは「嘘ッ!」「そんな……」「待って!」と小さな驚き声が上がる。  そうやって自分のモノとエミリアの蜜壺を馴染ませたあと、いよいよロルフは彼女の柳腰をつかみ、ゆっくりと腰を前後させた。 「ん、あ、あっ♡ はぁ、はあ……んっ、あっ♡」 「どうだい? 気持ちいいだろ?」  ロルフの問いかけにエミリアは無言でうなずく。彼の動きに合わせて腰をくねらせ、貪欲に快楽を求めるエミリアの様子は、ロルフの目にもとても愛らしく映る。 (まったく、こんな可愛らしい顔をして、体は最初からチンポで悦べる淫乱の素質ありなんて。この娘は、最高のメスだ)  もっと気持ちよくさせてあげたい。その一心でロルフは腰の動きを早めていく。それに合わせて、ぐちゅ、じゅぷっ、ずぷぷっという淫らな水音が結合部から漏れ出た。 「はっ、はっ、はぁっ♡ んっ、あっ、すごっ♡ 奥に当たってぇ♡」  ロルフが腰を打ち付けると、エミリアの子宮口が亀頭で小突かれ、膣奥のポルチオをノックされる。その度に彼女は背筋を震わせ、体を仰け反らせるのだった。より強く快楽を貪ろうと、エミリアも自分から腰を振り始める。それは図らずも男を悦ばせる奉仕の動きでもあった。  互いの腰がぶつかる音がリズミカルに響くたびに、二人は息を乱していく。 「エミリアは|最初《はじめて》から膣奥を突かれて感じるのか。変態だな」  ロルフは言葉で嬲りながら腰の速度を上げていく。同時に乳首にも手を伸ばすと彼女は面白いように反応を示した。乳首をつねりながら子宮口を突き上げられたことで、さらに興奮を高めたようだ。エミリアの膣肉がぎゅっと収縮し、ロルフのものを強く締め付ける。それが余計に快感を呼び、二人の限界を近づけていった。 「あっ、ああっ♡ ち、ちがうのっ、私は変態なんかじゃ、ない、からっ!」  喘ぎながら懸命に私は痴女じゃないと否定する美少女エルフの姿は、嗜虐心をそそられるものがあった。 「本当に? それなら自分で証明するんだ」 「しょ、しょうめい……?」  蕩けきった表情のまま首をかしげるエミリア。その膣内をロルフは遠慮なく突き上げる。 「ひぐぅううぅぅっ♡」  一際大きな声で喘いだエミリアは、背筋を仰け反らせ頭の後ろに敷いていた枕をつかんだ。脳天を直撃する衝撃の連続に歯を食いしばる。 「んぁっ♡ あっ♡ あっ♡ うそっ、うそっ♡」  ウブなエミリアが初めてくらう大人の男の本気ピストン。その力強さはこれまでの比ではない。激しく出し入れされているだけなのに腰が抜けそうなほど気持ちが良いのだ。まるで脳みそを揺さぶられるような振動に心が耐えられない。 「ひっぐっ♡ だめっ♡ だめだめだめっ♡ これっ、これ良すぎてやだっ♡」  こんなにも逞しくて、素敵で、女の子を幸せにしてくれる行為が存在することを、エミリアは初めて知った。自分は今幸せなのだと、心の底から思えた。そして、自分がこんなにも淫らでイケナイ女の子なんだと教えてくれた相手を――ロルフのことを好きになってしまう。 (私、ロルフにいっぱい気持ち良くしてもらってる。女の子の大切な部分を、こんなに使ってもらってるんだ。嬉しいっ、嬉しいよぉ♡ ああっ、こんなの知ったらもう戻れないっ、わたし、ロルフのことしか考えられないっ♡) 「エミリアがどれだけ淫らでいやらしい女の子か、自分で触って確かめるんだ」 「あっ、ああっ♡ ああっ♡」  そんなロルフの言葉だけで体が熱くなる。膣内が切なく疼いて、ロルフのイチモツを抱きしめたくて仕方なくなる。エミリアの全てがロルフを求めてしまう。彼女は男と繋がってる部分に手をやった。そこでは自分と男の体液が混ざり合い、ネバネバと白く泡立っていた。そこから得られる快感に、また思考が麻痺してしまう。 (すごい、これっ……私のここが、悦んでるのが分かる……あ、ああぁっ♡ そこぉっ♡)  淫裂を往復する熱い肉の棒の存在を確かめるように触れるたび、エミリアは自分の秘所が喜んでいることを感じた。彼女の手の中で脈動しているペニスは、さらに大きく膨らみ硬度を増しているような気がする。 「気持ちいいんだろう? 素直になった方が楽になれるよ」 「は、はいっ、ああっ、はぁんっ、きもち、いいっ、きもちいいですっ、ああっ、ああっ、これ、ああっ♡」  ロルフが腰を引くと、まるで行かないでと言っているかのように、エミリアの膣襞は吸い付いてしまう。己に快楽を与えてくれる雄の存在に、エミリアが夢中になっていることは一目瞭然だ。だがロルフは敢えて、それを無視して腰を引いた。 「あっ、や、なんでっ……抜いちゃっ」  突然喪失感に襲われたエミリアは泣きそうになりながら懇願する。もともと他人のものだった二つの肉体だが、それを繋ぎ合わせたときの気持ちよさを知ってしまったエミリアには、もはやロルフの肉体も他人とは思えなくなっていた。早く一つに戻りたいと彼女の本能が叫んでいた。  ロルフはその姿を見て、ますます加虐心を掻き立てられた。もう少しだけ我慢してね、と言いながら彼はもう一度エミリアの中に侵入する。今度は彼女の右脚を肩に担ぎ、腰を密着させるようにして、一気に奥までねじ込む。 「あがぁあっ♡ おく、当たってぇっ、あっ、あ、あぁあぁぁ♡」  女の膣奥にある神経は擦過よりも圧迫と開放で大きな刺激を感じるようになっている。ゆったりとした動作でロルフは腰を前後させる。エミリアのポルチオを押しつぶすように、ぐりぐりと押し込んでいく。そのたびに、びりっと電流のような感覚がエミリアの体を駆け巡った。  その瞬間から、エミリアの口から漏れる声は嬌声一色に変わるのだった。 「んはぁっ! はぁぁぁっ! んぁぁぁっ、これ、いいっ! そこぉ、グリグリされるの、きもひい!」 「それでいいぞ。もっと素直になろうなエミリア。さっき言っただろ? 俺の前では格好つけなくていいんだ、エッチ大好きなおまんこ弱々エミリアちゃんでいいんだ」 「んっ、あっ、あっ、あっ、あんっ♡」  そんなことを言われて嬉しい訳がない、私には王様になってやりたいことがあるんだ、やり遂げなきゃいけないんだとエミリアは己の使命を思い出そうとする。だが石のように硬いロルフの亀頭で子宮口をぐりぐりされると喉が詰まり、くぐもった喘ぎ声しか出せなくなる。 「ふぁっ、おくっ、までっ、とどいてぇっ♡♡♡♡♡ あっ、あぁっ♡♡♡♡ だめっ♡♡ それ、されると……なにも、考えられなくなって……だいじなこと、いっぱい、あるはずなのに……いっ♡ いじわるっ♡♡」 「でも、エミリアは意地悪にされるのが好きなんだろ。こうやって単調に奥をパンパン突くより、子宮を征圧するようにぐりぐりされるほうが反応いいよ。ほら、ぐりぐり~」  わざとらしく間の抜けた声を出しながらロルフは腰を回す。亀頭の先端とカリ首を使って、膣口の縁に引っかかるような責めを加えると、すぐに反応があった。 「んぁぁ~~っ! あふっ、あああっ♡ いやぁあああん♡」  髪を振り乱しながらエミリアが絶叫する。同時に膣内が痙攣し、きゅううっと締め付けを増した。結果エミリアを襲う快感の波は大きくなってしまう。しかも彼女がイってもロルフは腰の動きを止めないので終わりがない。 「エミリアちゃんも王様になって叶えたい夢があるんだね。素晴らしい。頑張って王様になろうね。だけど、それはそれとして、女の子が生まれてきた意味も知っておこうか」  ロルフはそう言うと一旦腰を引いてペニスを抜く。その途中で張り出したカリ首がGスポットを引っかき、強烈な快感を刻み込んだ。絶頂して敏感になっている体に与えられた強すぎる衝撃に、エミリアは思わず体を硬直させてしまう。 「えっ? あぅ……」  そんな彼女の脱力した瞬間を狙いロルフは、今度は四つん這いにしたエミリアを最奥まで貫いた。その衝撃の大きさに驚いたエミリアはすぐに目を大きく見開いた。 「あっ♡♡ やめっ♡♡ 今はぁ~~っ♡♡♡」 「イッたばかりで敏感だから、新しいことを覚えるには最適なタイミングなんだよ。今のうちに忘れられなくしちゃおうか。女の子が生まれてくる意味は、膣奥まで届く大きなチンポで子宮口をこじ開けられて、そこに種付けされるためだよ」  そう言うとロルフはエミリアの腰をつかみ、後背位からリズミカルなピストンを始めた。ぱんっぱんっという肌同士がぶつかり合う音とベッドが軋む音が混ざる音が響く中、それに合わせて二人の呼吸が激しくなっていく。 「ひっぎぃっ! あひぃいぃいっ! ああああっ、らめっ♡ もう無理ぃぃいッ♡♡♡」  再び襲ってきた激しすぎる快感に、エミリアは再び悲鳴じみた声を上げた。先ほどまでとは違う角度からの責めに困惑しながらも快楽に溺れる。 「この体勢、すごっ、いぃぃっ♡ さっきよりも奥まで届いてるっ♡」  両腕に力が入らないほど感じているエミリアは、己の体を立てておけず枕に顔を埋めている。ロルフは銀髪の後頭部を撫でつつ滑らかに腰を動かした。その仕草はとても紳士的で優雅で上品で、お互いの性器を擦り合わせる野性的な営みに熱狂しているとは思えない振る舞いだった。  そんなとき、ふとロルフが動きを止めたかと思うとエミリアの耳元で囁いた。 「どうされるのが一番好きなんだい?」 「ふぇっ、ふわっ?」  その言葉の意味が分からず、きょとんとした顔で振り返るエミリア。 「俺のモノがさ、いま君のどこにあたってる? どんな風に感じてる? もっと気持ちいい場所がある? それとも、このままずっとこの姿勢でいる? どっちだい? 答えてくれたら望み通りにするよ」 「あっ……それはっ……」  そう言われてようやくロルフの言わんとしていることを理解したエミリアは、顔を真っ赤にして再び枕に埋めてしまう。 「ちゃんと言えたらイカせてあげる。さあ、どうする?」  後ろからロルフの手が伸びてエミリアの乳房を優しく揉みほぐす。先端を指で転がされ、乳輪をなぞられ、もどかしい愛撫を受けて、自然と彼女は答えていた。 「……奥ばっかりじゃなくって……浅いところも擦ってほしい……です」  エミリアは蚊の鳴くような声でそう答えた。  それを聞いたロルフは、エミリアの腰を両手で掴むとゆっくりと前後に揺すり始める。その動きに合わせて膣内をかき混ぜる亀頭。 「このスピードなら、膣内で俺のチンポがどこに当たってるか分かるだろ? 好きな場所があれば教えるんだ」  違い緩やかな快感は、エミリアの脳を蕩かすような心地良さを齎した。 「んぅっ♡ あっ、ああ、すごっ♡ 気持ちいいっ、これ好きっ♡ すきぃっ♡」 「エミリアも、お腹側に好きな場所が多いんだね」  ぬちゃっ、ずちゅっ、にゅぷっ、ぐちょっ、くちゅぅっ、ぶちゅっ。  淫靡な水音を立てながら繰り返される律動。正常位で施された荒々しいピストンとは違うが、これもまた心地よい。まるでマッサージでもされているかのように、じんわりと体の芯から温まってくるのだ。 「お腹側が好きな娘なら体を立ててごらん。もっとおへその裏にチンポが当たるよ」  そう言われてエミリアは両腕をロルフに取られた。ぐいっと上体を立てられると、彼の言った通り膣内前部に先程まで以上の圧がかかる。 「ああっ♡ ああぁぁ♡ あーっ♡ ああーー♡♡」  腹の裏側を擦られて生まれる快感に彼女は思わず身を捩らせた。そのままロルフは、エミリアの両手首を手綱の如く引きながら後ろに座り込む。背面座位のような格好でエミリアを突き上げた。  自分の体重が結合部にかかりより一層深く肉棒が突き刺さるため、エミリアは涙を流しながら感じ入った。 「こんなのっ♡ もう無理っ♡♡」  今まで経験したことのない種類の快感が全身を駆け巡った瞬間、エミリアの股ぐらからは、ぷしゃっと飛沫が上がるような音がして、尿とも潮ともつかない液体が大量に噴き出した。 「ひぐっ……ぐっ♡♡♡ ひぐっ♡♡♡ こんなのらめ、死んじゃう♡ 壊れる、きもちよすぎて、こわれるぅ♡♡」 ***  絶頂の余韻に浸るエミリアをベッドに横たえると、彼女は初セックスの疲れからか自然と眠りについた。その寝顔は幸せそうで、満足そうだった。  そんなエミリアにそっと布団を掛けてやるロルフの表情は優しいものだ。しかし、すぐに顔を引き締め寝室から出ると、間諜との連絡用に使ってる部屋へ入った。  ガウン一枚で性臭を漂わせながら入ってきたロルフの姿に、先に部屋で待機していたレムは僅かばかり眉をひそめたが、即座に表情を消して仕事の顔に戻った。 「レムちゃんが教えてくれた情報のおかげで、エミリアの心の隙間に上手く入り込めたよ。やっぱり弱ってる女の隙につけ込むのは寝取りの常道だな」  あっけらかんとしたロルフに対し、レムは重々しく口を開いた。 「これでスバルく――ナツキ・スバルの命は助けてもらえるんですね」 「いいよ、呼び名はレムちゃんの好きなようにしても。まだ彼への情を断ち切れてないだろ」  図星を突かれたのか、レムは表情を固くする。そんな彼女に苦笑しつつ、ロルフはレムの隣に腰を下ろす。そして彼女の肩を抱き寄せた。抵抗はない。寧ろ積極的に身を預けてくる彼女に、ロルフは気を良くした。 「これで本当にスバルくんには手を出さないでくれますね?」レムは繰り返し言質を求めた。 「大人しくしてるうちは生かしておいてあげるよ。レムちゃんとの約束だからね」  そう言うと彼はレムの体を弄び始める。胸を鷲掴みにするとメイド服の上から揉みしだいた。  それでもやはりレムは抵抗しなかった。